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児童虐待の背景にあるもの(その2)

いい親と子の関係とは

711日に起きた5歳の女の子の虐待事件、これは24歳になる母親と無職で内縁の夫26歳によるものだ。長崎では5歳になる男の子に暴行したとして、31歳の母親と交際相手である31歳の男性が逮捕されている。さらに8月には生後1カ月半の次男を床に落とし、頭に大けがをさせたとして、傷害容疑で逮捕された23歳の母親。「育児に疲れた」といっている。今月12日には、耳の不自由なホームレス男性に熱湯をかけて大やけどを負わせた中学3年生の男子が逮捕されている。なぜこのような無残な事件が起きるのだろう。親と子の間に何かが起きている。その真実に迫ってみよう!

離婚件数が年間30万件と急増し、婚姻3組に1組が離婚していることになる。そこには経済的問題や子どものことで悩みを抱え込んでいることを明らかにしてきた。45歳未満の離婚した女性の半数以上が子どもを抱えての離婚という事実がある。その親権者となるのは母側であり8割を越えている。1_2

離婚を親権者からみると離婚したことによって母子関係は「良くなった」と答えるのが28.1%、「悪くなった」はわずか4.1%である。また、子どもの情緒面の変化として「安定してきた」と考えているのが25.3%と4人に1人の割合だ。反面「不安定になった」と捉えるものは17.4%もいる。これは決して少ない数値ではない。子どもの立場から考えるなら、父親がいなくなるということは、心細く不安な思いに駆られているのではないだろうか?子どもらの情緒面は大きく揺れ動いていることであろう。2_2 

児童虐待は

近年、児童虐待として取り上げられるケースは富に増えてきている。このグラフは全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数の年次推移を示したものだ。統計を取り始めた1990年では、わずか1,000件ほどであったのが2006年には37千件を超えている。この間、2002年には児童虐待防止法が施行されている。この急増する虐待件数は、潜在していたものが法令により顕在化してきたものが多くを占めていると思われる。反面、離婚の増加に負うところも大きく寄与しているのではないだろうか!3_2

その法令による児童虐待とは18歳未満の児童を対象として、身体的虐待、ネグレクトによるもの、性的虐待、心理的虐待の4項目を挙げている。特に、注目したいのはの心理的虐待が取り上げられたことである。のいずれにも該当しないものと定義されているが、実際は親も気付かない身体的、ネグレクト的、性的なものによって子どもたちの心を大きく蝕んで情緒面で弊害を与えていることも大きい。この、心的外傷後ストレス障害(PTSDPost-traumatic stress disorder)とは、生命の危機的または重大な出来事が、幼い心に加えられた衝撃的な傷となり、様々なストレス障害を引き起こす疾患を指し、記憶の回避や忘却傾向、幸福感の喪失、感情鈍麻などといった症状を呈するとまでいわれている。4_2

では実際に報告された虐待として内訳をみると身体的虐待が41.2%と最も多い。次いでネグレクト38.5%、心理的虐待17.2%であり、性的虐待は3.2%と少ない。しかし、この性的なものも少しずつ顕在化し増えてきているという。中高生の高学年において増えてきているようだ。この性的な問題は必然的に内へうちへと引き籠りがちで心理的なものとなり、そのトラウマが後々に大きな弊害をもたらすことが考えられる。5_2

報告された主たる虐待者についてみると実の母親が62.8%と最も多い。次いで父親の22.0%、実父以外の父、これは継父や内縁の男性を意味しており6.5%と少ない。しかし、ここでは主たる虐待者となっているため新しい男と子どもの間に立つ母の心の中で葛藤が生じ顕在化する事例も多く含まれているのではないかとも考える。6_3

母親が虐待者となる要因を考えるなら、リプロ・ヘルス情報センターの「幼児虐待の問題」でも示しているように望まない妊娠・出産で生まれてきた場合に多いことが一つあげられる。

http://homepage3.nifty.com/m-suga/childabuse.html

望まない妊娠であった場合は往々にして夫からの協力や理解が得られないことがみられ、それに対する反発も気持ちが考えられる。そして、それが高じて育児に対するストレスや疲れ・戸惑いも要因となりうる。その多くはネグレクトによる育児否定だ。その結果、離婚という選択肢に達することにもなろう。7_2

反面、再婚して相手の男に子どもがいた場合も、その子に対する嫉みを抱くことも考えられる。逆に自分に子どもがいて、相手の男性との狭間に立って葛藤し、子が邪魔な存在という考えも生じるようになるだろう。

虐待される子どもたちは

虐待相談がなされた児童の年齢構成をみると3歳未満の幼児、3歳から学童前の子どもが40%を占め、小学児童も4割であり、中学、高校生は20%にも満たない。しかしながら、中学以上の発生件数が徐々にではあるが増加してきているといわれている。性的なものが増えてきているようだ。この手の被害は表に出ないことが多く、心理的なものとなって後々傷害を発現することはすでに述べた。成長期の子に与える心理的トラウマは大きい。 8_2

次に、東京都福祉保健局の児童虐待の実態「輝かせよう子どもの未来、育てよう地域のネットワーク」の報告から虐待児童の重症度についてみると「生命の危機有」1.7%、重度8.9%、中等度25.4%、軽度39.9%とある。メディアに表れるのは生命の危機ありや重度虐待であり氷山の一角といえよう。このグラフをみるに当たり可能な限り早く、軽度のものを見出し対応することの重要性を指し示すものと考える。虐待が開始されてから児童相談所が一時保護するまでの期間は厚労省の報告では3年以上が24%と、1年から3年未満の20%よりも多い数値が示されている。このように虐待を受けている子どもらは、徐々に広がりをみせ次第に重症化していく様相を呈しているようだ。9_2

虐待のある家庭は

実際に虐待として報告された家庭の状況をみると、ひとり親の家庭が最も多く31.8%と示されている。そして経済的に困窮している家庭が30.8%と続いていた。このことは、離婚することによって母親が抱える悩みとして経済的なことや子どものことが70%以上あったと前に述べたが、その背景とよく一致している。

親族や近隣から孤立している家庭が23.6%、夫婦間不和20.4%、育児疲れ18.9%と続いている。しかも、ひとり親家庭と経済的に困窮している家庭が、そのあとに続く親族・近隣から孤立している家庭や夫婦間不和の家庭とが合わせもった複雑な家庭を構築しているようだ。親族や近隣からの孤立は母が子育てしていくうえには極めて不利な条件となる。夫婦不和が続けば、育児にも当然その弊害が現れ、離婚への選択肢を考えざるを得なくなってくるのではないか。益々追い詰められていく母親像がみえてくる。10_2

その追い詰められていく母親の姿が、虐待者となった心身の状態として、「特に問題なし」から「性格が偏り」はじめ、人格障害となって表れ、精神・神経症となって重症化しているのではないだろうか!虐待児童の重篤度にも比例しているようにも思われる。 11_2

追込まれる母

追い込まれていく環境の下で親から育てられていく子どもへの心理的影響は極めて大きいと思われる。情緒が不安定になり精神的発達の遅れをきたすであろう。性格の偏りが引き継がれていけば、次世代への影響も考えなければならない。12_2

虐待を行った者たちのその行為に対する認識も考えなければならない。虐待と捉えずに単なる躾であると考えているのであれば、その子どもに対する虐待は虐待として続けられていく。虐待を否認したり、行為は認めるが言い逃れをしたり、その行為を躾と主張するのが多い。しかも男に!継母にもその考えを持っていることが多いようだ。また、虐待をしていると認め何らかの支援を求めているのは実母に多いことが明らかに示されている。産みの親としての心がそうするのであろう!

児童は人間発達の段階にあり、特に8歳までは心を形造るうえで重要な時期である。それ以降は心が完成していくプロセスにある。その中で受ける傷は精神面で大きなトラウマを抱え込む。発達する過程にある子どもは、繊細な心を持ち多感である。子どもを持つ親たちは子心を知ることが大切である。自分のことより子に未来を託してはどうだろうか!

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