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2011年2月

二次性徴に対する意識調査からみる若者たち

思春期は、子どもから大人へとの移行期であり心身ともに大きな変化がみられる重要な過渡期と認識されています。特にこの時期は、性的に発達していく時期でもあり「性教育」の大切さも否定できないところでしょう。学校教育の中でも倫理的側面を踏まえ文科省を始め国をあげて力を入れているのが現状であります。これは性教育の在り方の信を問う問題なのかもしれません。

なぜなら、少子社会を迎えている私たち日本の現実において「セックスレス夫婦」が非常に増えていることを指摘してきました。でも「セックスレス」を問題視して深刻に捉えているメディアは殆ど見当りません。私たちにみえるのは、女性の裸体やセックスそのものの画像、さらには携帯電話の普及につれ中高生が容易にネットにもアクセスが可能となり出会い系サイト、アダルトサイトへ入り込むことが問題視されてきています。

40%以上の既婚女性のセックスレス、「お産後なんとなく」や「セックスするのは面倒だ」というものから「セックスより、もっと楽しいことがある」等など言い訳三昧、云いだせばきりがないほどいくらでもありますよね。ネット上の「性情報の氾濫」が性に関する価値観がおかしな方向に進みつつあるようにも思えます。セックス観が歪められてきたのでしょうか?

中学の性教育を彼らはどのように捉えていたのでしょう

そこで多感で揺れ動きやすい思春期を過ごしてきた高校1年生にフォーカスを当てて検討してみたいと思います。これから述べます各種データは、学校教育の現場で性教育をされてきた医師から集められた資料の解析のお手伝いをしたものをわかりやすくするために再集計したものです。そのため必ずしも母集団が一致しないことを理解して戴きたいと考えます。

1 中学時代に「性教育を受けてきたか否か」という問いかけに対し8割強の生徒が受けているのが示されています。そして、その教育が役に立っているか否かという「有用性」について問いかけています。「有用であった」と答えるのは女子25.6%、男子32.2%と有意差はないものの男子が高値を示していました。「どちらともいえない」と判定を保留するのは女子67.3%と男子の52.9%に比べ有意に高値でした。「有用でない」とはっきりと否定するのは、女子7.1%に対し男子が14.9%と2倍で有意差を認めています。

この違いはなにを意味しているのでしょうか?考えてみる必要がありそうですね。この時期の性教育は「月経は」「妊娠は」「望まない妊娠を避けるための避妊法は」「中絶をしたら」「性感染症は」等など与える情報としての押し込み教育なのだろうかと思いたくなります。

2 「性のことについて学校の教師や両親と話をしますか」という問いかけに対して、女子は教師と全く話さないが85.6%と男子の79.3%に比べ高値を示し、両親との会話も全くしないが68.6%と男子の75.6%よりも低くなっているものの7割近くを占めていました。

この背景には女子にとって男性の教師であれば、「話にくい」ということが考えられますし、月経などの身近なことであれば母親に相談することも考えられます。男子も女子も性に関する話題は、両親や教師とは殆どされていないことが明らかです。しかも友達間においても5割前後において性に関する話がなされていないことも示されています。

彼らは性に関して殻をかぶって閉じこもってしまっているようにも思えます。反面、ちょうど二次性徴を潜り抜けてきたばかりということが影響しているのかもしれません。

二次性徴を彼らはどのような思いで潜り抜けてきたのでしょう

男子においては陰嚢や陰茎の発達がみられ始め、陰毛の発生、そして精通がみられ、男らしい体型が形作られていきます。女子も同様に乳房の膨らみに始まり、陰毛の発生、そして初経を迎え、次第に女性らしい身体へと変わっていきます。

男子も女子も二次性徴の大きな転換期として精通と初経によることが知られています。只、男子においては精通がいつ始まったかを特定することが難しい場合があります。遺精や夢精という現象が起こり得るからです。

3 ここでは精通と初経がいつ起きたかについて調べてみたのがあります。「いつ始まったか分からない」というのを除いて年齢が特定できたものと未だ起きていないと明確に答えたもののみを取り上げてみました。男子の平均年齢は12.7±1.5歳(8~15歳)で、女子12.1±1.1歳(9~15歳)と女子において早く有意差を認めております。しかもこの調査では女子は全員が初経を経験しており、男子は80%しか経験していないということが示されております。

次に、二次性徴の発達過程においてどのような思い(イメージ)を抱いていたかについてみてみましょう。

男子は陰茎等の外性器の発達、女子は乳房の膨らみについてみますと「嬉しい」「楽しい」「安心した」「大人に一歩近づいた」「誇らしい」という5項目をポジティブ要因として捉え、「恥ずかしい」「怖い」「不安」「気持ち悪い」「面倒」をネガティブ要因と考えてみますと女子は男子に比べポジティブ要因は低く、ネガティブ要因も低いものの「面倒」と捉えているのが男子よりも勝っていました。

4 陰毛の発生については、女子は男子に比べポジティブ・ネガティブ共に低く「大人に近づいた」「恥ずかしい」「気持ち悪い」がほぼ同じで、「面倒」という思いを男子よりも強く抱いていたことが示されています。

精通や初経についてみますと男子はポジティブ・ネガティブ共に均等に分布されて描かれていますが、女子は「嬉しい」「楽しい」「誇らしい」というイメージを抱くものは低く、「不安」や「気持ち悪い」が男子と同等の値を示し、「面倒」という思いを多くのものが強く抱いていたことが示されています。女子は乳房・発毛・月経という二次性徴の発達に対して面倒なこととネガティブなイメージとして多くが抱え込んでいるようです。

5 おとなへの体型になっていくという発達過程の思いについてみますと、男子は全体としてポジティブ要因がネガティブ要因に比べ高くなっていることが示されています。特に「嬉しい」「誇らしい」思いが強く表れています。女子は男子に比べ全体として低い評価を示していました。女らしくなるという悦びを感じていないようにも思えます。女性へと一皮剥けていく過程で疲れを感じているのかもしれませんね。

尚、この評価は、「非常にそう思う」を3点、「ややそう思う」2点、「あまり思わない」1点、「全く思わない」0点とスコアリングし重みづけでもって採点をしております。6

二次性徴に対する意識からみえてくるものとして、男子は二次性徴の発達過程を良きにつけ悪しきにつけ直視下にみつめながら歩んできているようにも思えます。一方、女子は冷めた目でみており、「面倒」という冷ややかで煩わしいという印象を抱いているように思われるのです。

その表れが「中学時の性教育の有用度評価」であり、性に関する会話も友人間において殆どしないが過半数を超え、まして教師や両親においても9割強がなされていないことで裏打ちされているのではないでしょうか。

7 「性は生」光輝いて生きることという温もりのある性教育でありたいものですね。両方向で語り合い考えあうというようにして、「性に対する価値観」を改めて見詰めなおすときではないのでしょうか。

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