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思春期をどうしのぐ?中学、高校を経て大人に!

 小学5年生から高校生を卒業するまでの期間が思春期と云えるのでしょう。その間に二次性徴という劇的な変化をもたらすのです。思春期(puberty)とは、人として生殖機能が備わり、生理機能が成熟して心身ともに子供から大人に変化する時期のことを意味しています。すなわち、子どもから大人への移行期、とても大切な時期でもあります。

生き物は総て子孫を残し脈々と世代を繋ぐという役割を遺伝子に組込まれています。多くの生き物にはメスとオスがあり、その両生でもって子孫が繋がっていっております。この繋がりは動物界では交尾という言葉がもちいられていますが、人では「性交(セックス)」という言葉に置き換えられております。まさに言葉は真実を現すものです。性を交えて子孫を残すということに始まるのですね。

性の目覚め「二次性徴」

その生殖機能を芽生えさせるのが思春期なのです。その表れが二次性徴として呼ばれる目覚めに始まります。男子では精子を作りだす精巣が大きくなりテストステロンという男性ホルモンを盛んに分泌し始め、その容積も大きくなり陰茎などの外性器も発育し、亀頭を包んでいた包皮も剥けて亀頭冠が現れるようになってきます。そして陰毛や液毛などもみられ、喉仏が大きくなり、声変わりするようになります。その間に、精子が盛んに作り始め射精という現象が起きます。これを「精通が始まる」と呼んでいます。これらは精巣の中にあるライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンというホルモンの成せる技なのです。まさに男にするホルモン、男性ホルモンです。

女性は乳首(乳頭)が大きくなり始める乳頭期から、しだいに乳房が膨らみ腰部が引き締まりお尻が大きく発育してきます。いわゆる「女らしい体つき」になるといえるのです。男性同様、陰毛や腋毛も生えてきます。そして極めつけは、妊娠することの準備ができたとの証の月経がみられ始めます。初経です。これらは卵巣という卵子を包んでいる顆粒膜細胞から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの成せる技といえるのです。女を作るホルモンなのです。

この時期の心理的側面としましては、お互いの性を強く感じ始めます。生殖は両性が交わって初めて叶うのですから、異性への意識が目覚めます。すなわち春を思い始める時期だから「思春期」という言葉があてられてきたのです。

男性は精通という精子が作り出すという現象、女性は卵子を放出できるようになった証しの月経が生殖能の完遂を示す二次性徴なのです。初経はおおよそ12歳の始めにみられるのが一般的のようです。精通の始まりは女性の初経よりもやや遅れてみられるようです。

実際に高校2年生に精通や月経が始まった時期について調べた報告があります。木村好秀先生らが行ったものですが、男子の精通開始平均年齢は12.9±1.6歳で、未だ経験していないというのが16歳で6.4%という結果でした。いつ始まったのか覚えていないというのも多く30%近くいました。一方、女子は、全員が月経を経験しており初経開始平均年齢は12.1±1.1歳ということで、女子の方がおよそ1年近く早く経験していることが示されています。2

二次性徴をどのように捉えているのでしょう

このような性への芽生えは、彼ら達にややもすれば「不安」や「とまどい」をもたらします。突如として起きる陰茎からの精液の射出や子宮・腟からの出血には、お腹が痛いという思いに「恐怖」や「恥ずかしい」と感じる人も少なくありません。その反面、これで「大人になった」という思いや、「安心した」や「嬉しい」と思う人もいるでしょう。

木村先生の報告によりますと男子が考える思いとして、精通がみられたということに対して「大人に近づいた」とポジティブに捉えているのが32.8%、「嬉しい」18.8%、「安心した」18.3%と全体的に肯定的に思っているのが19.1%であり、逆に、「面倒くさい」20.0%、「恥ずかしい」16.6%と否定的な思いは15.3%とやや肯定的考えが優っていました。男らしい筋肉質の体型にということに対しては、「嬉しい」56.4%、「誇らしい」という思いは42.4%と肯定的な思いは40.4%と高く、「恥ずかしい」や「不安」等といった否定的な考えは12.5%と低値で大きな違いが認められています。3

陰毛などの発毛に対しては、「大人に近づいた」と捉えるのが44.1%、「面倒」なことが37.1%、全体的には肯定的な思いが21.1%に対し否定的な思いは19.9%と違いはみられません。声変わりについてみますと、「大人に近づいた」43.5%、「安心した」29.6%と続いています。逆に、「面倒」と思うのは22.7%でした。やはり肯定的考えが主となっています。4

男子生徒は二次性徴の発現に対し、男性としての声の質、筋肉質という「男らしさ」に強くあこがれ的な思いを抱いていることが窺い知れます。しかも、「精通」にたいしても男としての証を認めているように思われますね。

女子の考える二次性徴

女子は陰毛などの発毛に対して、「大人に近づいた」と考えるのが19.4%と他は総て10%以下でした。反面、「面倒くさい」51.0%、「恥ずかしい」29.4%、「気持ち悪い」27.5%と否定的思いが強く出ています。5項目の肯定的考えの平均をみますとわずか6%にしか過ぎません。否定的考えは24.4%に比べ大きな違いです。なぜこうも違いがみられるのでしょう。

乳房の膨らみについては、「大人に近づいた」46.2%、「嬉しい」36.0%、「安心した」25.9%とあります。否定的な思いとして「面倒」33.5%、「恥ずかしい」117.4%でした。発達途上にある女子は、乳房が大きくなることに対し恥ずかしくもあり邪魔なものと考えるかもしれませんが、嬉しく安堵もし、大人の女性になってきたという思いが秘められているように思われますね。5

女性らしい体型になってきたという思いには、「大人に近づいた」34.3%、「嬉しい」25.9%とあります。逆に、「面倒」が16.4%で他は総て10%未満でした。これも男性同様、「女は女たるべし」という思いですね。でも、初経を迎えた月経についてみますと、「大人に近づいた」37.0%、「安心した」25.4%、「嬉しい」10.3%と実直な思いが秘められているようです。でも、「面倒くさい」と考えているのが77.0%と高率に認められています。「気持ち悪い」29.3%、「不安」な思いが19.1%でした。思春期女性が抱える問題として的確にその思いを現している数値ではなかったのではないのでしょうか。6

みせかけの二次性徴に一喜一憂する姿

男子生徒は「声変わり」をして一段と男らしい体型になることを歓び、女子は乳房が膨らみ、女らしい体型になることに喜びを感じている姿は容易に受け入れることはできます。でも、表にはみえない陰毛などの発毛や月経が始まるという本質的なことに対しては強い抵抗感を抱いていることが窺われます。


月経痛に悩まされている女子生徒たち!

77%もの多くの女子生徒が、なぜ月経を「面倒」と捉えているのでしょう?これは前出の木村先生らが行った調査報告によりますと、中学3年の女子生徒では月経の時にいつもお腹が痛いと感じているのが46.5%と半数近くもおりました。時折を含めますと8割も超えていたのです。腰が痛いも半数を超えております。

月経が近くなり、始まる前にはやはりお腹が痛くなる、イライラする、疲れやすくなる、怒りっぽくなるといった月経前緊張症的(PMS)症状を訴える女子生徒も半数を超えております。これでは学業に専念するということも無理なのかもしれませんね。彼女たちは、初経を迎えて未だ23年程しか経過していないのです。子宮や腟等の生殖器系は、未だ、発育途上にあるといえますね。

激しい生理痛を「月経困難症」と診断している(頻度と程度)

月経時に痛みを訴え日常の生活、就労や就学の妨げになるような激しい痛みを伴うような状態を月経困難症と診断し、月経異常として治療の対象になっています。1万人の女性を対象とした大橋宏先生らの大規模調査があります。これによりますと1015歳では41.3%が月経痛を訴え、うち23.9%が月経困難症を、1620歳では65.7%に月経痛を、35.7%に月経困難症であったとしています。16歳以降で多いのは排卵周期に伴って生じることが多いためといわれており、それ以前では無排卵の状態で出血が起きているからです。8

月経困難症は、なぜ思春期女性に多い?

骨盤内に子宮内膜症や子宮筋腫といった器質的な病変を持たないものを機能性(原発性)月経困難症といいますが、月経が始まる頃は未だ子宮の発育は不十分な状態にあるといえます。子宮内膜が剥がれ落ちるとき血管の攣縮等による痛み、また、月経血が硬い子宮頸管を透過する際の刺激等による痛みが考えられております。排卵を伴う場合、子宮内膜よりプロスタグランジンが多量に分泌され、その結果として子宮筋が過度に収縮するためではないかと考えられているようです。それに加え不安や気持ち悪くなるという心理的な要因も加わり緊張が増長するのではないのでしょうか。それが、性成熟期を迎えるようになると次第に痛みも減弱していくことが報告されているからです。9

思春期における月経痛は、ある意味におきまして避けて通ることはできないのかもしれませんね。どうすればこの月経痛を緩和させる方法をとればよいのでしょうか。とても大切なことです。

子宮内膜症による月経困難症が増えている

今までは、子宮内膜症は20歳以降の疾患と考えられ、思春期には稀な疾患だと考えられていました。しかしながら、最近では、若年性の子宮内膜症も増えていることが報告されるようになってきております。また、クラミジア感染等による骨盤内炎症による器質性(続発性)月経困難症も増えてきているようです。このような場合は、問診や血液検査である程度の予測がつけられますので、専門の産婦人科の診察を受けることが優先されます。(スライド9

月経痛に対する対処法(母親と養護教諭の役割)

思春期にみられる月経痛に対する対応としては、日本産科婦人科学会では、思春期の女性医学の中で原発性月経困難症の対応について掲載されていたものを示します。いずれにしましても、学校教育に主眼をおかなければならないと考えます。初経教育のあり方ではないでしょうか!月経は「なぜ起きるのか」というような基礎知識、思春期の月経時にはある程度の痛みを伴うこと、その対応、そしてその生理用品等といった対処法、下着などの用い方等々具体的に指導することが大切なことではないでしょうか。10

養護教諭の嘆き

最近、養護教諭のコメントに接することがありました。「生理中なのに生理用品を持たない子が増えてきて保健室にとりにくる子が多い」、「下着の着用がうまくできず、制服や体育着等の汚れがあり、指導する場面が多くなったように思う」や「中学だけでのことではありませんが、ナプキンの選び方、交換やトイレマナーは教えてもらっていないのでしょうか?」等などです。

沖縄県の中学、高校の女子生徒を対象とした泉澤真紀先生の「思春期生徒の月経痛と月経に関する知識の実態と教育的課題」と題した調査報告があります。これによりますと、「月経痛」は、「月経痛緩和法の知識」「友達と話すことがある」「月経知識への関心」「月経痛があるのは当然とする考え方」と有意に関連があった。とまとめております。

月経がなぜ起きるのかという疑問から入り、月経に対する正しい知識を持つこと、友達同士でこの問題を共有し、しっかりと前向きにこの生理現象を捉えることが大切なことではないでしょうか。

そうすることによって、「面倒くさい」という思いは減って、女性として「大人に近づいた」という思いと、「嬉しく」「安心した」という思いが強く表れてくるのではないでしょうか…!

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