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思春期をどうしのぐ? ‐学校生活での諸問題!‐

  思春期、それは子どもから大人への移行期、身体的には二次性徴が始まり生殖能の備わっていくときであり、心身的には依存から自己自立へと目覚めていく時期といえるでしょう。でも、彼らの身体は子どもから大人への脱皮をしている時、今迄の馴染のない身体の変化に驚きと戸惑いを感じています。脳から分泌されるホルモンと精巣や卵巣からのホルモンとの分泌が未だ調和の取れないアンバランスな状態となっています。不安定ということは心も乱れやすい状態なのです。身体と心の発育がちぐはぐとなっているときといえるでしょう。

彼らの過ごす生活時間も家庭から大きく社会生活、学校へとシフトしていくときです。しかも規律を持った集団生活となってきます。大人社会への規範を持った行動がとれるように人間形成の時期であり、義務教育として最後の磨きをかける中学時代、心の余裕を持たせる高校時代、その間に様々な知識も習得しなければなりません。ややもすると身体の成長に比べ心の成長が遅れがちになることもあるのかもしれません。そのようなズレが生じて起きる学校生活での諸問題があります。

暴力行為、いじめ、不登校の問題

文部科学省が公表している『平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する1調査」について』という資料を手にする機会がありました。それによりますと小・中・高校における暴力行為の発生件数は約6万件、小・中校においては過去最高の件数。いじめの認知件数は約7万件、前年より約1万件の減少。高校における不登校生徒数は約5万人とありました。学校における暴行、いじめ、不登校の問題は、こうも後を絶たないのでしょうか

なぜ暴力行為発生件数は中学校で多いの?

2 暴力行為の発生件数の年次推移を小・中・高校別についてみますと、12年にピークを示し以降減少傾向をたどっていましたが、18年より再び増加を示してきています。これは18年より公立校のみだったのが、国立と私学校が加わったこともありますが、中学校における発生件数3 の急増は母数の広がり以上の多さと考えて良いでしょう。男女別では92%が男子生徒によるものでした。学年別では中学2年、3年と多くなっていますが、21年度は1年生で12,500件となり、平成18年に比べ1.7倍も増加しています。また、高校生になると半減していることが示されています。中学生に多いのは身体と心の発育のバランスが取れていないためなのでしょうか?

次に、その暴力行為の内容を教師に対するもの、生徒間におけるもの、他の人に対するもの、器物破損によるものと分けて捉えてみますと、21年度では、生徒間暴力行為が1校あたりの換算でみますと2.15件と器物破損の1.12件に比べ倍近くです。4年前の平成18年度の1.38件に比べ1.6倍もの増加です。教師に対する暴力行為も小学・高校に比べても多いのには驚かされます。

ここで気になるのは、小学56年生の増加です。二次性徴が現れてきています。なにか二次性徴の発現と関係があるのでしょうか?

『いじめ』は思春期の心を蝕む深刻な問題

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次に思春期に抱える問題として『いじめ』があります。これは子ども社会から大人社会においても幅広く存在する深刻で陰湿な問題ともいえるでしょう。いじめは、肉体的、精神的に自分より弱いものを、暴力やいやがらせなどによって苦しめることで、単純な暴力だけでなく、物を隠したり、悪口や脅し文句、嫌がるようなことをする「心に対するいじめ」もあります。シカト(無視)などは当事者同士の間の水面下で行われることから、教師や周囲が気づかないうちに深刻な事態になったりもします。また最近は、PCや携帯電話等で誹謗中傷するケースも増えているようです。心の発育途上にある思春期だけにいじめを受ける側が自殺に追い込まれたり、予後に禍根を残す恐れもあり、大きな問題として取り上げられております。

文部科学省による『いじめ』の定義は「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」としており、「いじめか否かの判断は、いじめられた子どもの立場に立って行うよう徹底させる」と指導しております。この定義は平成191月に改定されたものですが、その際に「パソコン・携帯電話での中傷」や「悪口」などが追加され平成18年の調査報告の件数が大幅に増加しております。また、「発生件数」から「認知件数」と言葉も改められております。教職員に対する指導も徹底されてきている背景もあり認知件数もかなり増えているのではないかと考えます。5

『いじめ』は小学の低学年から始まっている!

『いじめ』の年次推移をみますと小学校における件数が中学校よりも多いことがわかります。でもカッコ内に示していますように1校当りの認知件数をみますと21年度で中学2.9件に対し小学校は1.6件となっています。このいじめという行為は、いじめる側においても、いじめられる側においても無意識のうちに起きているようであって、小学低学年から生じ始めていることです。その内容の多いのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」というのが小中高性においていずれも過半数を超えております。6

暴力行為の問題は、男子生徒が加害者となって起こすことが殆どですが、『いじめ』の問題は男子が多いものの女子の間でも起きています。男女別に各学年でみますと中学1年生の男子生徒で9千件、女子生徒7千件と最も高い値を示しております。小学6年生男子3.5千件、女子3.0件ですから中学に入って倍以上増えたということになります。中学でも2年、3年になるにつれ減少していることから、小学から中学へと環境の変化や学習内容の違いから起きるのではないでしょうか?小学時代の友人や教師の支えを失い喪失不安を募らせる場合と小学校でリーダー格として活躍していたのが中学に入って、その存在を発揮できなくなって自己発揮機会を喪失しストレスをためる場合の二つのタイプに分かれるといわれております。

『中一ギャップ』という言葉

このように中学に入って起きる諸問題を『中一ギャップ』と銘うって新潟県教育委員会は、ことの深刻さを訴えました。その発表は平成17年ですから、平成19年に行われた調査内容の見直しは肯けるところです。こうした現象を解消するために、中学教師が小学校で「出前授業」をしたり、小学生と中学生が合同で行事を開催したりして、小学生のときから中学校の教師や先輩に親しんでもらうような試みを行うところも増えてきているようです。

やはり、小学校から中学に上るということは、彼らにとって生活基盤が依存から自己自立へと移り変わる大きな転換期なのです。

不登校生は中学の高学年になるほど多い

不登校者数についてみても、やはり中学生が多いのです。平成21年度で中学生は2.77%、高校では1.55%、小学0.32%と示されています。この数値は、平成17年度に遡って比べても大きな変化はみられていないのです。問題は中学生でも2年から3年生と高学年になるほど多くなっていることです。この不登校生は男子も女子もほゞ同じ割合なのです。男女間の違いはみられておりません。

その不登校の理由も学業不振や病気、家庭不和、友人関係などというものではなく、『その他本人に関わる問題』という漠然とした理由が40%強を占めていたのです。中学1年時に生じた心の隙間が次第に大きくなり、取り残されているという思いが疎外感となって表れてきているのではないのでしょうか?そう思えてならないのです。7

校内暴力・いじめ・不登校をなくすためには!

校内暴力・いじめ・不登校が中学生に多いのは、二次性徴という身体の発育が確実に起きている中、心の発育が追い付けないというジレンマが生じているように思えます。小学から中学という環境の変化から『いじめ』に始まり、仲間に取り残されるという焦燥感(いらだち・あせり)となって『校内暴力』や『不登校』として顕在化してくるのではないでしょうか。心にゆとりが持てなくなっているようにも思えます。

櫻井よしこ氏のブログに「いじめ・不登校・校内暴力ゼロを花づくりで実現した旧真田町」というのがありました。そこには上田市教育委員のとられた実績を紹介しているのです。教育の立て直しには、三つの柱が必要であり、それは心の教育、体の成育、授業の充実と指摘していることから始まっています。

http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2006/12/09/post_489/

ここではとられた『心の教育』について触れてみることにします。「心を癒やす教育がなされていないことが、まず見えてきます」と述べ、花づくりに専念させたのです。土づくりから始め、そこに根を張り、芽をだし、やがて四季折々に美しい花を開かさせ、しおれ枯れ落ちる経験を肌で感じていたのです。

自然の中に小さな命が芽生え美しく開花し、朽ち果てる。この営みを皆で悟り、癒しも覚えたのです。『こうした優しさが心に育まれると、それが級友たちに対しても及び、結果的にいじめをなくす力になっていく』と語っております。

多感な思春期をしのぐには、ものを思いやる心のゆとり教育が彼らにとって必要なのではないでしょうか!

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