心と体

高齢者の『性』の生理学

4.高齢者の性の生理学

老化とは、生物学的には時間の経過とともに生物の個体に起こる変化を意味し、その中でも生物が死に至るまでの間に起こる機能低下やその過程を指しています。

「男らしさ」、「女らしさ」は、男性の精巣から分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)、女性の卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)から形作られています。身も心も共にです。加齢と伴にこれら両ホルモンは低下し、男らしさ、女らしさが失われていきます。それに伴って性機能の衰えを男女とも45歳くらいから感じ始めます。7


このように「性成熟期」から「老年期」へ移行する間に「更年期」と呼ばれる時期があります。ホルモンバランスが安定している「性成熟期」から精巣や卵巣の機能が低下し、その機能低下に対し「もっと働け」という指令をだす「間脳-下垂体」からの刺激ホルモンの分泌が増加してきます。そこで脳と精巣や卵巣の間でホルモンの不協和音が生じてきます。自律神経系が乱れることになります。女性の場合、卵巣の機能の低下は4555歳の間に急激に襲い掛かり、更年期障害となって様々な不定愁訴を訴えますが、男性の場合は精巣の機能低下は緩徐に起きますので男性更年期は人様々で幅があるようです。この期間を更年期と呼び、以降自律神経中枢も落ち着いて老年期へと移り変わっていくのです。

この老年期に移行して老化していくことになります。卵巣や精巣の機能低下とともに、加齢によって様々な臓器や組織も衰えてきます。これを一般的に「老化現象」と呼んでいます。この老化現象に代表されるものに動脈硬化などで知られる血管の老化が挙げられます。これには悪玉コレステロールが原因物質となって血管をしなやかに保っている「弾性繊維」を破壊していきます。この動脈硬化をもたらす原因には、喫煙や暴飲暴食、運動不足、飲酒、肥満など多くの原因があり、動脈硬化によって糖尿病や高血圧症、痛風症や胃潰瘍に至るまで様々な疾患を発症する可能性を持ちます。加齢に様々な要因が老化というのに加速をかけて人様々となって表れてきます。

この血管壁の老化の始まりを自覚できるものに、男性では陰茎内の末梢血管に現れてきます。「朝立ち」といわれる早朝勃起現象の消失や勃起時の硬度の低下で自覚できます。女性では腟粘膜が萎縮、菲薄化し潤いがなくなり、平滑で伸展性を欠くようになってきます。このようになりますと帯下感や掻痒感を訴え、性交痛を訴えるようになります。萎縮性腟炎といわれるものです。男女共に性交時に感じる違和感は老化の始まりといえるのです。50歳周辺に現れてきます。

4-1.高齢男性の性生理

老化は「ハメマラ」から始まると、昔から俗説的にいわれてきました。ハメマラとは男性の老化の進行で、衰えが症状としてあらわれる部位のことを意味しており、平安時代からともいわれています。ちなみに『ハ』は歯(歯槽膿漏や歯肉炎、固いものが噛めなくなってきたことを)、『メ』は目(視力低下、細かい文字が読めなくなってきたことを)、『マラ』は梵語の“mara”から男性の生殖器官(ED:勃起障害や尿の切れの悪さ)を意味しているというものです。9


.加齢とともに精巣の機能が低下してきます。男性ホルモンであるテストステロン分泌も減少してきます。男らしさに翳りをみせ始めてきます。先ず、男性の勃起力の低下に気が付かれることも多いでしょう。特に顕著に表れるのが朝起きたときにみられる「早朝勃起」がなくなることで自覚されるのではないでしょうか。

この早朝勃起現象の消失や勃起力(硬さ)の低下は50歳周辺からみられ始めるようです。セックスの最中もときに途中で萎縮する中折れ現象にも遭遇することがあります。副性器の前立腺や精嚢腺も機能低下がみられ、産出される精液の量も減少していきます。若い時期の半分の量にまで減少していきます。また、射精時に感じていた「射精不可避感」や「射精切迫感」を感じることなく射精してしまうこともあるでしょう。射精時に得られるオーガスムも弱くなってきます。セックスに対する自信が持てなくなってしまうこともあるでしょう。精神的なストレスを伴い、体力の低下と相俟って性欲も少しずつ失われてきます。セックスレスなどへのネガティブの連鎖に追い込まれてしまいます。

この「性に対する情熱の消失」の他に、血管の衰えが高血圧などの心循環器系疾患、脂質代謝異常からくるものもあります。予備軍を含めますと2千万人にも及ぶと云われています「糖尿病」も患ってくる男性も多いようです。前立腺も加齢によって肥大していきます。前立腺肥大や前立腺がんも、ときには男性に襲い掛かることもあります。このような老いとともに様々な多臓器疾患は、性機能を著しく傷つけていきます。まさに枯れた老いを感じ取っていくことになります。

男性は陰茎の「勃起力」というものを通して老いを感じてくるようです。50歳周辺から感じるようになってきますが、個人差は大きいようです。しかし多くの男性において性欲は強く残されたままです。セックスをしていても硬度が少しずつ失われていることに気がつきます。他のことに気が取られてしまいますと萎えてしまうこともありえます。また、オーガスムを感じる射精の時も精液量が少なくなっていますし、射精時に起きる精液が後部尿道口に排出される現象(エミッション:極致感)と会陰筋の律動的収縮によって尿道から体外へ射出される現象(イジャキュレーション)の二段階に分けられますが、この差がなくなり極致感も弱く、しかも射出力も低下している関係から若い頃に比べてオーガスムという悦びはそれほど強くはありません。

4-2.早朝勃起の消失は末梢血管の老化の兆し

勃起現象は陰茎海綿体に陰茎深動脈かららせん動脈を介して海綿体内の毛細血管網へと血流が海綿体内に入り込み、白膜下静脈叢から海綿体外に流出する血液を膨張した海綿体白膜が貫通静脈を強く圧迫して遮断してしまい。陰茎の硬度が増すのです。加齢によりこの白膜の面積が減少して硬さが維持できにくくなってしまうのです。

早朝勃起というのは、性的興奮時に起きる勃起とは異なり、夜間のレム睡眠時に副交感神経系が活性化され交感神経系よりも優位になります。内臓などの様々な臓器を刺激してくれるのです。陰茎もその刺激を受け勃起が起きます。レム睡眠時ですから、夢などをみていたり、寝言を云っていたり、寝返りをすることもあるでしょう。眠っている間は気が付かないでしょうが、明け方の最後のレム睡眠時に目覚めた時に、勃起していることに気付くのです。

札幌医大名誉教授で日本男性医学会理事長の熊本悦明氏は、「レム睡眠時の勃起は、生き物・男として非常に重要なのです。生き物・人間は、寝ているときに全機能が寝て休んでしまえば、死んでしまうので、夜の神経である副交感神経が定期的にアクセルを踏んで、内臓を刺激しているのです。丁度車がハイウエイを走行中に、何もしなかったら止まってしまうから、時々アクセルを踏み、止まらないようにするのと同様に、人間も、睡眠中レム睡眠時に副交感神経のアクセルが踏まれており、その時に腸が動き、夢をみたり、寝言も言うし、また寝返りもする。その時に、ペニスも内臓の一部として、腸と一緒に反応して自然に勃起している訳です」と語っています。

早朝勃起の消失、若しくは勃起力が落ちてきたと思われたら、血管系の老化を意味していますので心血管障害の初期症状と考え、医療相談をされることを先ずは勧めたいところです。

4-3.女性の性生理

45歳周辺からの更年期に卵巣の機能低下によりエストロゲン分泌は急激に減少します。この急激な減少に対し、脳にある視床下部(間脳)は卵巣に働きなさいと脳下垂体に指令をだして性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSH)の分泌を促します。それに卵巣は応えることができません。今迄は視床下部と卵巣はお互いに反応しあって協調していたのです。視床下部の傍にある自律神経系は不協和音を奏でるのです。それが基で様々な不定愁訴を訴えるようになるのです。のぼせや熱感、発汗亢進、動悸などの血管運動神経系症状を呈します。これが更年期障害というものです。その他にも不安、不眠等の精神神経系症状、疲れや肩こり等の運動神経症状を訴えることもあります。これらは更年期の間にもたらされますが、その後、老年期に入ってもエストロゲン分泌は少ないままで続きます。8


その他にエストロゲンの分泌低下は様々な弊害をもたらします。先ず、腟に対しては萎縮、菲薄化をもたらします。腟の潤いがなくなってきます。充分な腟の潤いがなければ、その中でのセックスは性交痛を訴えることになります。性交痛は性反応を損ないますし、骨盤底筋群の老化によりオーガスムの時間も短縮し快感も減少していきます。

萎縮菲薄化した腟内は酸性度も低下しますので乳酸桿菌の減少と相俟って腟自浄作用が低下し異常細菌叢が形成され帯下感、掻痒感、感染性腟炎を引き起こしかねません。更に、骨盤底筋群の老化は尿失禁や頻尿、排尿時違和感等といった排尿障害を引き起こしたり、子宮下垂や子宮脱等にも及ぶことがあります。

肌の弾力性は失われ、艶やきめ細かさも失われていきます。悪玉のコレステロールが増えて、高脂血症等といった脂質代謝異常、さらには骨吸収も失われ、骨がスカスカになる骨粗鬆症にも見舞われることになります。脳内の血流の循環も悪くなっていきます。これらを維持していたのは女性ホルモンであるエストロゲンの為せる業だったのです。

4-4.高齢女性の性反応

マスターズ&ジョンションによりますと、腟内の潤滑化が遅くなり、腟の拡張力も低下し、エストロゲンの減少から、腟壁の萎縮、菲薄化に伴い襞も少なくなって、腟腔全体が萎縮した状態となります。オーガスム期が短くなり、消退期も早くなると指摘しています。若い女性ではオーガスムが近付くと腟の開口部から3分の1位に膨らみが生じてきますが、高齢になりますとそのオーガスム隆起の収縮回数も半減し、肛門括約筋の収縮も少なくなると云われています。

性的刺激によってクリトリスは膨張し、クリトリス亀頭は小陰唇の包皮の下に後退していきますが、大陰唇や小陰唇の脂肪組織の減退と弾力性が低下していますので、直接的な刺激には疼痛を伴うことがありますので注意が必要だと指摘しています。

加齢とエストロゲンの低下によって女性の生殖器は退行変性していきますので、充分に時間をかけた前戯が必要で、腟内の潤いを確認されてから受け入れるようにしなければなりません。

4-5.生殖器系と廃用萎縮の関係

廃用萎縮、という言葉があります。廃用症候群ともいい、動かさない筋肉などが萎縮し機能不全を引き起こすことなどを指します。生き物は使わない機能はなくしていこうとする働きがあります。寝たきりで長くいた場合、骨や筋肉が衰えてうまく動かせなくなります。このことを廃用筋萎縮と呼んでいますが、廃用萎縮は健康な人にもおきるのですが、高齢になることによって無駄なものをできるだけ排除しようとする機能です。

勃起が不十分だから、性交痛があるからと言って、セックスから遠ざかると、その機能は益々衰えて使用不能に陥ってしまうのです。性機能低下を感じ始めたらお互いの努力で、勃起力をたかめたり、腟内の潤滑を充分に促すような手助けをすればよいのです。その努力がお互いの連帯感を増し歓びも大きなものとなります。お互いの絆が強く結ばれていくのです。いつまでも若々しく保つことができるのです。

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50歳以降の有配偶者は…男女別に

2-450歳以降の有配偶者の状況

私たち日本においては65歳を超えてどれほどの割合で夫婦としていられるのでしょう。1960年での男性は7割で妻の死別が3割弱となっていました。未婚、離婚がそれぞれ1%程となっていました。女性の方でみますと夫との死別が7割で、夫と共に暮らしていたのが3割弱となっていました。未婚が1%、離婚が2%程でした。5


50年後の2010年をみますと、男性では8割が「妻とともに」で1割の上昇を示しており、死別者は1割となり2割減少しています。未婚4%、離婚4%と若干増えていましたが、死別者がより減っていました。女性をみますと約5割が「夫とともに」と2割ほど増えています。死別が4割と50年前に比べ3割の減少です。未婚は4%と離婚は5%と男性を上回っていました。いずれにしても、50年の間には医療技術の革新で著しい「健康増進」が認められ「超高齢社会」がもたらされてきたといえます。

1960年の高齢化率(65歳以上人口割合)が5.7%であり、高齢化社会の手前にあった時代でした。当時の「性」は、「閉経=性の終焉」という考えで、夫を受け入れないのが一般的社会規範となっていたようです。男性の平均寿命は65.3歳、女性70.2歳であり、夫は妻より早逝するもの、妻の性は失われるもの、老齢の性は「嫌らしいもの」、「汚らしいもの」という考えが主流となっていたのです。65歳を過ぎた男性にとって「閉ざされた性」となっていたのです。夫は生きがいを失い、まさに「枯淡の性」とならざるを得なかったようです。

2-52010年時の高齢者の有配偶状態

これを平成22年(2010年)の国勢調査で、50歳以上の有配偶者の状況をみますと、50歳代女性の人口は約820万人で夫のいる有配偶率は640万人ですから78%となります。死別された方はわずか4%にしかすぎません。60歳代になりますと13%に増え、70歳以上になりますと49%となり有配偶率は5割程になっています。70歳前半のみでみますと27%と3割を下回っており、夫を失うのは70歳後半からとなります。6


男性の場合をみますと、50歳代の総人口は810万人で妻のいる有配偶率は610万人の75%となります。死別された方は10万人の1.3%となります。60歳代男性の死別者は3.6%、70歳以上で13.5%となっています。70歳前半では7%程となっており男性の平均寿命の79.6歳と符合していることがわかります。

50歳から74歳までの高齢世帯では、夫婦ともに生活をされているのが76%となり、しかもその半数が夫婦二人だけでの生活となっていたのです。78割が70歳前半まで配偶者とともに生活を送っているといえます。このように配偶者の存在は老年期における孤独を解消し、幸福感や生き甲斐を作り上げた生活を過せるといえるのです。

でもなぜ、70歳を過ぎても男性は、妻が健在であれば生き甲斐を感じて共に永らえるのでしょうか?なぜ男性は女性より短命なのでしょう?性染色体がXYとヘテロの関係が影響しているのでしょうか!性的関係が持てなくなって、性の枯渇として楽しみ、気力の消失が考えられなくもないでしょうか。70歳代に入りますと「枯淡思想」として性的欲望は植物が水分を失い枯れていくように、衰退・喪失感に浸り込んでしまうようにも思えます。

性の視点から捉えてみますと、男性は「与え入れる性」、女性は「受け入れる性」ともいえます。性という扉が閉ざされてしまいますと与える側の気持ち的損失は大きいものとなりかねませんね。「高齢者の性」が鍵を握っているのかもしれません。

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『高齢者の性』 超高齢社会を豊かに生き抜くために…

初夏の昼下がり、古い団地の中にある公園をみていると歩いているのはお年寄りが多い。その多くは女性のお年寄りだ。なかにはステッキを持って足元が危なっかしい姿も目につく。なにか痛々しさを感じるが、男のお年寄りだ。孫を連れて歩いている好々爺もいるが、その動作には活き活きとした張りを感じるのは私だけだろうか。

いま、我われは少子高齢社会にいます。しかも超高齢社会とまで言われる時代となっています。65歳以上の高齢者人口が1990年では10%程でしたが、200015%となり、2012年では23%程にまでにもふくらんできています。団塊の世代が高齢者人口に入り込んできたのです。これからも高齢者人口は増え続けると云われています。

高齢者人口2,958万人のうち男性は1,264万人、女性1,693万人と男3に対し女4の割合になっています。平均寿命は男性79.6歳、女性86.4歳と女性が6.8歳ほど長生きをしていることになります。65歳以上の世帯数をみますと2,013万世帯で全世帯の42%にものぼっています。そのうち夫婦のみの世帯599万世帯(30%)、単独世帯463万世帯(23%)、三世代世帯は18%と少なくなってきています。高齢化社会と云われていた1980年では夫婦のみが19%、単独世帯11%、三世代世帯50%でしたので家庭の構成と機能は大きく異なってきた超高齢社会といえます。夫婦二人でお互いに支え合いながら余生を楽しんでいくことになり、なかには連れ合いを失う方も増えてきています。生殖性で繋がっていた半世紀よりも、さらに長い夫婦生活を送ることになります。そこには「連帯の性」でお互いの絆を深めあうことがこれからの「生き甲斐」となり、それを確かめ合い余生を実りあるものにしていきたいものです。

ここでは高齢者の「性」について焦点を当て種々考えてみたいと思います。

WHO(世界保健機構)や国連の定義によりますと、

65歳以上人口の割合が 7%超で「高齢化社会」(日本は1970年)

65歳以上人口の割合が14%超で「高齢社会」  (日本は1995年)

65歳以上人口の割合が21%超で「超高齢社会」(日本は2007年)

        とされています。

 


少子高齢社会とは、いつ頃から懸念されていたのでしょう?合計特殊出生率が2.0を下回ってきた1970年半ばに始まります。高齢化社会とは1970年頃当時65歳以上の人口が総人口に占める割合が、7%を超えてきた場合と考えられていました。1970年の65歳以上をみますと男性で6.3%、女性7.8%、合わせて7.1%でした。高齢化社会の到来といわれてきたのです。1980年に合計特殊出生率は急速に低下し、1995年では1.42となりました。この時の「高齢社会」は国際的定義によりますと1421%を占めると指摘されており、1995年には14.5%でしたので、高齢社会の到来となったのです。でも更に、2007年頃には合計特殊出生率は1.3と底をつき、高齢者人口も21.15%を超えて「超高齢社会」と打出されてきたのです。

 

高齢化の現状と将来像についてみてみましょう。2005年の総人口は約13千万人で65歳以上の高齢者は26百万人と20%でしたが、2025年では総人口が約1千万減り12千万人となり高齢者人口は30%を超え、2055年になりますと総人口は1億を下回り9千万人となり高齢者人口が40%を占めるようになってきます。しかも75歳以上のお年寄りが4人に1人と推定されているのです。

 この推定値をみますと少子超高齢社会は、これからの次世代に何を語り継いでいけば良いのか強く考えさせられます。

2.高齢者の性を考えよう

 少子超高齢社会のなかで、私たちは様々な問題を抱えています。そこで高齢者の性について考えていきたいと思います。高齢者とは、一般的に65歳以上をさしていますが、ここでは「性」の視点から考えますので50歳以上について捉えていきたいと思います。更年期の項で述べましたように女性は45歳頃より卵巣の機能低下により月経周期が乱れ、50歳初めに閉経を迎えます。45歳頃から55歳の約10年間を更年期と呼んで、そこで訴える不定愁訴を更年期障害と言い多くの女性を悩ませます。また、閉経を迎えた女性は妊娠の恐れから開放されセックスを謳歌するということも反面指摘されています。一方、男性は50歳を越えていきますと早朝勃起の消失などによる性機能の衰えを感じ始める時でもあり、性交能力に自信が揺らぎ始める時でもあります。

 団塊世代が結婚年齢に入った1970年代は、高齢者の性は「嫌らしいもの」「汚らしいもの」と捉えられていました。特に、女性の間では閉経とともに「性の終焉」と多くの方が捉えていたようです。男性の間ではやがて「枯れていくもの」と捉えていた節があります。しかし「高齢化社会」から「超高齢社会」へと移りゆくにつれ高齢者夫婦のみで暮らす世帯が増えてきております。「高齢者の性」がクローズアップされてきているようです。

2-150歳以上の人口はどうなっているのでしょう?

 超高齢社会といわれている今日50歳以上の人口はどれくらいになっているのでしょうか?2012年の厚労省の人口動態統計資料によりますと男性は25.8百万人、女性で30.5百万人となっています。女性の方が約5百万人多いことがわかります。そして女性人口の約半数近くが50歳以上ともいえます。2


 

それを約50年前の1960年の人口に比べますと男女とも50歳以上が3倍強に増え半数近くとなっていることがわかります。まさに少子超高齢社会が構築されてきたと云えます。

2-2.現在の平均寿命は…

 平均寿命の年次推移を追ってみますと、戦後間もない1950年では男性58歳、女性61.5歳でした。以降、1960年に始まった国民皆保険制度などによって急速な医療の発展により健康増進が図られ、寿命が延びて2010年では女性が86.4歳、男性79.6歳となり世界最長寿国となってきました。女性の平均閉経年齢が51歳ですので、1950年では閉経からわずか10年ほどだったのが、今では「生殖の性」を閉ざしはするものの35年間も第二の人生を送ることができるようになってきました。信長が好んで舞を舞った『人間(じんかん)五十年、化天(かてん)のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり、一度生を享け、滅せぬもののあるべきか…』、人生はもはや50年ではなく、80年の時代となってきたのです。3


 

人は一人ではいき難いものなのです。必ず対を為していく生き物なのです。男と女という一つの対なのです。男と女が、そこに生き続ける限り、「性の営み」を欠かすことはできません。妊娠を危惧することのない「性」として、お互いの絆をたかめる「連帯の性」、そして歓びを分かちあう「快楽の性」となって対等の関係となり、お互いが生き甲斐を持ちながら日々を過ごすのです。

 

2-3.なぜ、長寿国に…?「健康管理の徹底」

 1961年に国民皆保険制度が導入されてから健康増進が推し測られるようになり、若くして亡くなるケースが減ってきたことは云うまでもありませんが、この長寿国の背景にはこの50年の間に乳幼児死亡の激減があります。それに加えて生産者年齢層の死亡例が抑えられてきたのです。4


 

国民健康保険や社会保険制度の導入で徹底した国民の健康管理がなされてきました。図では年齢階級別にみた死亡者数の構成比をみたのですが、2010年のグラフをみますと50歳未満で死亡する割合が極端に抑えられています。国を挙げての徹底した健康管理が行われてきたためと容易に想像ができると思います。そこには1955年から1973年の高度経済成長期と相俟って職場環境や生活習慣の著しい改善、食生活、栄養の改善などによって乳幼児や青壮年の死亡例が大幅に低下していたのです。

 

50歳を過ぎると加齢に加えて様々な疾患が健康を損ない多臓器疾患を抱え込むようになります。老化とともに健康損失による死亡例が増えてきます。1960年時をみますと男性では70歳前半にピークを示し、女性は70歳後半と80歳前半が続いています。60年時の65歳の平均余命が男性76.6歳、女性79.1歳となっていました。50年を経た2010年では男性が80歳前半にピークを取り、女性80歳後半にピークを作っています。10歳程伸びているのが読み取れます。

 

死亡年齢のピークをみますと1960年と2010年も同じように男性よりも女性の方が5歳ほど遅れています。生物学的見地からみまして女性の方が長生きできるようになっているためです。

 

 

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思春期をどうしのぐ? ‐学校生活での諸問題!‐

  思春期、それは子どもから大人への移行期、身体的には二次性徴が始まり生殖能の備わっていくときであり、心身的には依存から自己自立へと目覚めていく時期といえるでしょう。でも、彼らの身体は子どもから大人への脱皮をしている時、今迄の馴染のない身体の変化に驚きと戸惑いを感じています。脳から分泌されるホルモンと精巣や卵巣からのホルモンとの分泌が未だ調和の取れないアンバランスな状態となっています。不安定ということは心も乱れやすい状態なのです。身体と心の発育がちぐはぐとなっているときといえるでしょう。

彼らの過ごす生活時間も家庭から大きく社会生活、学校へとシフトしていくときです。しかも規律を持った集団生活となってきます。大人社会への規範を持った行動がとれるように人間形成の時期であり、義務教育として最後の磨きをかける中学時代、心の余裕を持たせる高校時代、その間に様々な知識も習得しなければなりません。ややもすると身体の成長に比べ心の成長が遅れがちになることもあるのかもしれません。そのようなズレが生じて起きる学校生活での諸問題があります。

暴力行為、いじめ、不登校の問題

文部科学省が公表している『平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する1調査」について』という資料を手にする機会がありました。それによりますと小・中・高校における暴力行為の発生件数は約6万件、小・中校においては過去最高の件数。いじめの認知件数は約7万件、前年より約1万件の減少。高校における不登校生徒数は約5万人とありました。学校における暴行、いじめ、不登校の問題は、こうも後を絶たないのでしょうか

なぜ暴力行為発生件数は中学校で多いの?

2 暴力行為の発生件数の年次推移を小・中・高校別についてみますと、12年にピークを示し以降減少傾向をたどっていましたが、18年より再び増加を示してきています。これは18年より公立校のみだったのが、国立と私学校が加わったこともありますが、中学校における発生件数3 の急増は母数の広がり以上の多さと考えて良いでしょう。男女別では92%が男子生徒によるものでした。学年別では中学2年、3年と多くなっていますが、21年度は1年生で12,500件となり、平成18年に比べ1.7倍も増加しています。また、高校生になると半減していることが示されています。中学生に多いのは身体と心の発育のバランスが取れていないためなのでしょうか?

次に、その暴力行為の内容を教師に対するもの、生徒間におけるもの、他の人に対するもの、器物破損によるものと分けて捉えてみますと、21年度では、生徒間暴力行為が1校あたりの換算でみますと2.15件と器物破損の1.12件に比べ倍近くです。4年前の平成18年度の1.38件に比べ1.6倍もの増加です。教師に対する暴力行為も小学・高校に比べても多いのには驚かされます。

ここで気になるのは、小学56年生の増加です。二次性徴が現れてきています。なにか二次性徴の発現と関係があるのでしょうか?

『いじめ』は思春期の心を蝕む深刻な問題

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次に思春期に抱える問題として『いじめ』があります。これは子ども社会から大人社会においても幅広く存在する深刻で陰湿な問題ともいえるでしょう。いじめは、肉体的、精神的に自分より弱いものを、暴力やいやがらせなどによって苦しめることで、単純な暴力だけでなく、物を隠したり、悪口や脅し文句、嫌がるようなことをする「心に対するいじめ」もあります。シカト(無視)などは当事者同士の間の水面下で行われることから、教師や周囲が気づかないうちに深刻な事態になったりもします。また最近は、PCや携帯電話等で誹謗中傷するケースも増えているようです。心の発育途上にある思春期だけにいじめを受ける側が自殺に追い込まれたり、予後に禍根を残す恐れもあり、大きな問題として取り上げられております。

文部科学省による『いじめ』の定義は「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」としており、「いじめか否かの判断は、いじめられた子どもの立場に立って行うよう徹底させる」と指導しております。この定義は平成191月に改定されたものですが、その際に「パソコン・携帯電話での中傷」や「悪口」などが追加され平成18年の調査報告の件数が大幅に増加しております。また、「発生件数」から「認知件数」と言葉も改められております。教職員に対する指導も徹底されてきている背景もあり認知件数もかなり増えているのではないかと考えます。5

『いじめ』は小学の低学年から始まっている!

『いじめ』の年次推移をみますと小学校における件数が中学校よりも多いことがわかります。でもカッコ内に示していますように1校当りの認知件数をみますと21年度で中学2.9件に対し小学校は1.6件となっています。このいじめという行為は、いじめる側においても、いじめられる側においても無意識のうちに起きているようであって、小学低学年から生じ始めていることです。その内容の多いのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」というのが小中高性においていずれも過半数を超えております。6

暴力行為の問題は、男子生徒が加害者となって起こすことが殆どですが、『いじめ』の問題は男子が多いものの女子の間でも起きています。男女別に各学年でみますと中学1年生の男子生徒で9千件、女子生徒7千件と最も高い値を示しております。小学6年生男子3.5千件、女子3.0件ですから中学に入って倍以上増えたということになります。中学でも2年、3年になるにつれ減少していることから、小学から中学へと環境の変化や学習内容の違いから起きるのではないでしょうか?小学時代の友人や教師の支えを失い喪失不安を募らせる場合と小学校でリーダー格として活躍していたのが中学に入って、その存在を発揮できなくなって自己発揮機会を喪失しストレスをためる場合の二つのタイプに分かれるといわれております。

『中一ギャップ』という言葉

このように中学に入って起きる諸問題を『中一ギャップ』と銘うって新潟県教育委員会は、ことの深刻さを訴えました。その発表は平成17年ですから、平成19年に行われた調査内容の見直しは肯けるところです。こうした現象を解消するために、中学教師が小学校で「出前授業」をしたり、小学生と中学生が合同で行事を開催したりして、小学生のときから中学校の教師や先輩に親しんでもらうような試みを行うところも増えてきているようです。

やはり、小学校から中学に上るということは、彼らにとって生活基盤が依存から自己自立へと移り変わる大きな転換期なのです。

不登校生は中学の高学年になるほど多い

不登校者数についてみても、やはり中学生が多いのです。平成21年度で中学生は2.77%、高校では1.55%、小学0.32%と示されています。この数値は、平成17年度に遡って比べても大きな変化はみられていないのです。問題は中学生でも2年から3年生と高学年になるほど多くなっていることです。この不登校生は男子も女子もほゞ同じ割合なのです。男女間の違いはみられておりません。

その不登校の理由も学業不振や病気、家庭不和、友人関係などというものではなく、『その他本人に関わる問題』という漠然とした理由が40%強を占めていたのです。中学1年時に生じた心の隙間が次第に大きくなり、取り残されているという思いが疎外感となって表れてきているのではないのでしょうか?そう思えてならないのです。7

校内暴力・いじめ・不登校をなくすためには!

校内暴力・いじめ・不登校が中学生に多いのは、二次性徴という身体の発育が確実に起きている中、心の発育が追い付けないというジレンマが生じているように思えます。小学から中学という環境の変化から『いじめ』に始まり、仲間に取り残されるという焦燥感(いらだち・あせり)となって『校内暴力』や『不登校』として顕在化してくるのではないでしょうか。心にゆとりが持てなくなっているようにも思えます。

櫻井よしこ氏のブログに「いじめ・不登校・校内暴力ゼロを花づくりで実現した旧真田町」というのがありました。そこには上田市教育委員のとられた実績を紹介しているのです。教育の立て直しには、三つの柱が必要であり、それは心の教育、体の成育、授業の充実と指摘していることから始まっています。

http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2006/12/09/post_489/

ここではとられた『心の教育』について触れてみることにします。「心を癒やす教育がなされていないことが、まず見えてきます」と述べ、花づくりに専念させたのです。土づくりから始め、そこに根を張り、芽をだし、やがて四季折々に美しい花を開かさせ、しおれ枯れ落ちる経験を肌で感じていたのです。

自然の中に小さな命が芽生え美しく開花し、朽ち果てる。この営みを皆で悟り、癒しも覚えたのです。『こうした優しさが心に育まれると、それが級友たちに対しても及び、結果的にいじめをなくす力になっていく』と語っております。

多感な思春期をしのぐには、ものを思いやる心のゆとり教育が彼らにとって必要なのではないでしょうか!

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思春期をどうしのぐ?中学、高校を経て大人に!

 小学5年生から高校生を卒業するまでの期間が思春期と云えるのでしょう。その間に二次性徴という劇的な変化をもたらすのです。思春期(puberty)とは、人として生殖機能が備わり、生理機能が成熟して心身ともに子供から大人に変化する時期のことを意味しています。すなわち、子どもから大人への移行期、とても大切な時期でもあります。

生き物は総て子孫を残し脈々と世代を繋ぐという役割を遺伝子に組込まれています。多くの生き物にはメスとオスがあり、その両生でもって子孫が繋がっていっております。この繋がりは動物界では交尾という言葉がもちいられていますが、人では「性交(セックス)」という言葉に置き換えられております。まさに言葉は真実を現すものです。性を交えて子孫を残すということに始まるのですね。

性の目覚め「二次性徴」

その生殖機能を芽生えさせるのが思春期なのです。その表れが二次性徴として呼ばれる目覚めに始まります。男子では精子を作りだす精巣が大きくなりテストステロンという男性ホルモンを盛んに分泌し始め、その容積も大きくなり陰茎などの外性器も発育し、亀頭を包んでいた包皮も剥けて亀頭冠が現れるようになってきます。そして陰毛や液毛などもみられ、喉仏が大きくなり、声変わりするようになります。その間に、精子が盛んに作り始め射精という現象が起きます。これを「精通が始まる」と呼んでいます。これらは精巣の中にあるライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンというホルモンの成せる技なのです。まさに男にするホルモン、男性ホルモンです。

女性は乳首(乳頭)が大きくなり始める乳頭期から、しだいに乳房が膨らみ腰部が引き締まりお尻が大きく発育してきます。いわゆる「女らしい体つき」になるといえるのです。男性同様、陰毛や腋毛も生えてきます。そして極めつけは、妊娠することの準備ができたとの証の月経がみられ始めます。初経です。これらは卵巣という卵子を包んでいる顆粒膜細胞から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの成せる技といえるのです。女を作るホルモンなのです。

この時期の心理的側面としましては、お互いの性を強く感じ始めます。生殖は両性が交わって初めて叶うのですから、異性への意識が目覚めます。すなわち春を思い始める時期だから「思春期」という言葉があてられてきたのです。

男性は精通という精子が作り出すという現象、女性は卵子を放出できるようになった証しの月経が生殖能の完遂を示す二次性徴なのです。初経はおおよそ12歳の始めにみられるのが一般的のようです。精通の始まりは女性の初経よりもやや遅れてみられるようです。

実際に高校2年生に精通や月経が始まった時期について調べた報告があります。木村好秀先生らが行ったものですが、男子の精通開始平均年齢は12.9±1.6歳で、未だ経験していないというのが16歳で6.4%という結果でした。いつ始まったのか覚えていないというのも多く30%近くいました。一方、女子は、全員が月経を経験しており初経開始平均年齢は12.1±1.1歳ということで、女子の方がおよそ1年近く早く経験していることが示されています。2

二次性徴をどのように捉えているのでしょう

このような性への芽生えは、彼ら達にややもすれば「不安」や「とまどい」をもたらします。突如として起きる陰茎からの精液の射出や子宮・腟からの出血には、お腹が痛いという思いに「恐怖」や「恥ずかしい」と感じる人も少なくありません。その反面、これで「大人になった」という思いや、「安心した」や「嬉しい」と思う人もいるでしょう。

木村先生の報告によりますと男子が考える思いとして、精通がみられたということに対して「大人に近づいた」とポジティブに捉えているのが32.8%、「嬉しい」18.8%、「安心した」18.3%と全体的に肯定的に思っているのが19.1%であり、逆に、「面倒くさい」20.0%、「恥ずかしい」16.6%と否定的な思いは15.3%とやや肯定的考えが優っていました。男らしい筋肉質の体型にということに対しては、「嬉しい」56.4%、「誇らしい」という思いは42.4%と肯定的な思いは40.4%と高く、「恥ずかしい」や「不安」等といった否定的な考えは12.5%と低値で大きな違いが認められています。3

陰毛などの発毛に対しては、「大人に近づいた」と捉えるのが44.1%、「面倒」なことが37.1%、全体的には肯定的な思いが21.1%に対し否定的な思いは19.9%と違いはみられません。声変わりについてみますと、「大人に近づいた」43.5%、「安心した」29.6%と続いています。逆に、「面倒」と思うのは22.7%でした。やはり肯定的考えが主となっています。4

男子生徒は二次性徴の発現に対し、男性としての声の質、筋肉質という「男らしさ」に強くあこがれ的な思いを抱いていることが窺い知れます。しかも、「精通」にたいしても男としての証を認めているように思われますね。

女子の考える二次性徴

女子は陰毛などの発毛に対して、「大人に近づいた」と考えるのが19.4%と他は総て10%以下でした。反面、「面倒くさい」51.0%、「恥ずかしい」29.4%、「気持ち悪い」27.5%と否定的思いが強く出ています。5項目の肯定的考えの平均をみますとわずか6%にしか過ぎません。否定的考えは24.4%に比べ大きな違いです。なぜこうも違いがみられるのでしょう。

乳房の膨らみについては、「大人に近づいた」46.2%、「嬉しい」36.0%、「安心した」25.9%とあります。否定的な思いとして「面倒」33.5%、「恥ずかしい」117.4%でした。発達途上にある女子は、乳房が大きくなることに対し恥ずかしくもあり邪魔なものと考えるかもしれませんが、嬉しく安堵もし、大人の女性になってきたという思いが秘められているように思われますね。5

女性らしい体型になってきたという思いには、「大人に近づいた」34.3%、「嬉しい」25.9%とあります。逆に、「面倒」が16.4%で他は総て10%未満でした。これも男性同様、「女は女たるべし」という思いですね。でも、初経を迎えた月経についてみますと、「大人に近づいた」37.0%、「安心した」25.4%、「嬉しい」10.3%と実直な思いが秘められているようです。でも、「面倒くさい」と考えているのが77.0%と高率に認められています。「気持ち悪い」29.3%、「不安」な思いが19.1%でした。思春期女性が抱える問題として的確にその思いを現している数値ではなかったのではないのでしょうか。6

みせかけの二次性徴に一喜一憂する姿

男子生徒は「声変わり」をして一段と男らしい体型になることを歓び、女子は乳房が膨らみ、女らしい体型になることに喜びを感じている姿は容易に受け入れることはできます。でも、表にはみえない陰毛などの発毛や月経が始まるという本質的なことに対しては強い抵抗感を抱いていることが窺われます。


月経痛に悩まされている女子生徒たち!

77%もの多くの女子生徒が、なぜ月経を「面倒」と捉えているのでしょう?これは前出の木村先生らが行った調査報告によりますと、中学3年の女子生徒では月経の時にいつもお腹が痛いと感じているのが46.5%と半数近くもおりました。時折を含めますと8割も超えていたのです。腰が痛いも半数を超えております。

月経が近くなり、始まる前にはやはりお腹が痛くなる、イライラする、疲れやすくなる、怒りっぽくなるといった月経前緊張症的(PMS)症状を訴える女子生徒も半数を超えております。これでは学業に専念するということも無理なのかもしれませんね。彼女たちは、初経を迎えて未だ23年程しか経過していないのです。子宮や腟等の生殖器系は、未だ、発育途上にあるといえますね。

激しい生理痛を「月経困難症」と診断している(頻度と程度)

月経時に痛みを訴え日常の生活、就労や就学の妨げになるような激しい痛みを伴うような状態を月経困難症と診断し、月経異常として治療の対象になっています。1万人の女性を対象とした大橋宏先生らの大規模調査があります。これによりますと1015歳では41.3%が月経痛を訴え、うち23.9%が月経困難症を、1620歳では65.7%に月経痛を、35.7%に月経困難症であったとしています。16歳以降で多いのは排卵周期に伴って生じることが多いためといわれており、それ以前では無排卵の状態で出血が起きているからです。8

月経困難症は、なぜ思春期女性に多い?

骨盤内に子宮内膜症や子宮筋腫といった器質的な病変を持たないものを機能性(原発性)月経困難症といいますが、月経が始まる頃は未だ子宮の発育は不十分な状態にあるといえます。子宮内膜が剥がれ落ちるとき血管の攣縮等による痛み、また、月経血が硬い子宮頸管を透過する際の刺激等による痛みが考えられております。排卵を伴う場合、子宮内膜よりプロスタグランジンが多量に分泌され、その結果として子宮筋が過度に収縮するためではないかと考えられているようです。それに加え不安や気持ち悪くなるという心理的な要因も加わり緊張が増長するのではないのでしょうか。それが、性成熟期を迎えるようになると次第に痛みも減弱していくことが報告されているからです。9

思春期における月経痛は、ある意味におきまして避けて通ることはできないのかもしれませんね。どうすればこの月経痛を緩和させる方法をとればよいのでしょうか。とても大切なことです。

子宮内膜症による月経困難症が増えている

今までは、子宮内膜症は20歳以降の疾患と考えられ、思春期には稀な疾患だと考えられていました。しかしながら、最近では、若年性の子宮内膜症も増えていることが報告されるようになってきております。また、クラミジア感染等による骨盤内炎症による器質性(続発性)月経困難症も増えてきているようです。このような場合は、問診や血液検査である程度の予測がつけられますので、専門の産婦人科の診察を受けることが優先されます。(スライド9

月経痛に対する対処法(母親と養護教諭の役割)

思春期にみられる月経痛に対する対応としては、日本産科婦人科学会では、思春期の女性医学の中で原発性月経困難症の対応について掲載されていたものを示します。いずれにしましても、学校教育に主眼をおかなければならないと考えます。初経教育のあり方ではないでしょうか!月経は「なぜ起きるのか」というような基礎知識、思春期の月経時にはある程度の痛みを伴うこと、その対応、そしてその生理用品等といった対処法、下着などの用い方等々具体的に指導することが大切なことではないでしょうか。10

養護教諭の嘆き

最近、養護教諭のコメントに接することがありました。「生理中なのに生理用品を持たない子が増えてきて保健室にとりにくる子が多い」、「下着の着用がうまくできず、制服や体育着等の汚れがあり、指導する場面が多くなったように思う」や「中学だけでのことではありませんが、ナプキンの選び方、交換やトイレマナーは教えてもらっていないのでしょうか?」等などです。

沖縄県の中学、高校の女子生徒を対象とした泉澤真紀先生の「思春期生徒の月経痛と月経に関する知識の実態と教育的課題」と題した調査報告があります。これによりますと、「月経痛」は、「月経痛緩和法の知識」「友達と話すことがある」「月経知識への関心」「月経痛があるのは当然とする考え方」と有意に関連があった。とまとめております。

月経がなぜ起きるのかという疑問から入り、月経に対する正しい知識を持つこと、友達同士でこの問題を共有し、しっかりと前向きにこの生理現象を捉えることが大切なことではないでしょうか。

そうすることによって、「面倒くさい」という思いは減って、女性として「大人に近づいた」という思いと、「嬉しく」「安心した」という思いが強く表れてくるのではないでしょうか…!

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二次性徴に対する意識調査からみる若者たち

思春期は、子どもから大人へとの移行期であり心身ともに大きな変化がみられる重要な過渡期と認識されています。特にこの時期は、性的に発達していく時期でもあり「性教育」の大切さも否定できないところでしょう。学校教育の中でも倫理的側面を踏まえ文科省を始め国をあげて力を入れているのが現状であります。これは性教育の在り方の信を問う問題なのかもしれません。

なぜなら、少子社会を迎えている私たち日本の現実において「セックスレス夫婦」が非常に増えていることを指摘してきました。でも「セックスレス」を問題視して深刻に捉えているメディアは殆ど見当りません。私たちにみえるのは、女性の裸体やセックスそのものの画像、さらには携帯電話の普及につれ中高生が容易にネットにもアクセスが可能となり出会い系サイト、アダルトサイトへ入り込むことが問題視されてきています。

40%以上の既婚女性のセックスレス、「お産後なんとなく」や「セックスするのは面倒だ」というものから「セックスより、もっと楽しいことがある」等など言い訳三昧、云いだせばきりがないほどいくらでもありますよね。ネット上の「性情報の氾濫」が性に関する価値観がおかしな方向に進みつつあるようにも思えます。セックス観が歪められてきたのでしょうか?

中学の性教育を彼らはどのように捉えていたのでしょう

そこで多感で揺れ動きやすい思春期を過ごしてきた高校1年生にフォーカスを当てて検討してみたいと思います。これから述べます各種データは、学校教育の現場で性教育をされてきた医師から集められた資料の解析のお手伝いをしたものをわかりやすくするために再集計したものです。そのため必ずしも母集団が一致しないことを理解して戴きたいと考えます。

1 中学時代に「性教育を受けてきたか否か」という問いかけに対し8割強の生徒が受けているのが示されています。そして、その教育が役に立っているか否かという「有用性」について問いかけています。「有用であった」と答えるのは女子25.6%、男子32.2%と有意差はないものの男子が高値を示していました。「どちらともいえない」と判定を保留するのは女子67.3%と男子の52.9%に比べ有意に高値でした。「有用でない」とはっきりと否定するのは、女子7.1%に対し男子が14.9%と2倍で有意差を認めています。

この違いはなにを意味しているのでしょうか?考えてみる必要がありそうですね。この時期の性教育は「月経は」「妊娠は」「望まない妊娠を避けるための避妊法は」「中絶をしたら」「性感染症は」等など与える情報としての押し込み教育なのだろうかと思いたくなります。

2 「性のことについて学校の教師や両親と話をしますか」という問いかけに対して、女子は教師と全く話さないが85.6%と男子の79.3%に比べ高値を示し、両親との会話も全くしないが68.6%と男子の75.6%よりも低くなっているものの7割近くを占めていました。

この背景には女子にとって男性の教師であれば、「話にくい」ということが考えられますし、月経などの身近なことであれば母親に相談することも考えられます。男子も女子も性に関する話題は、両親や教師とは殆どされていないことが明らかです。しかも友達間においても5割前後において性に関する話がなされていないことも示されています。

彼らは性に関して殻をかぶって閉じこもってしまっているようにも思えます。反面、ちょうど二次性徴を潜り抜けてきたばかりということが影響しているのかもしれません。

二次性徴を彼らはどのような思いで潜り抜けてきたのでしょう

男子においては陰嚢や陰茎の発達がみられ始め、陰毛の発生、そして精通がみられ、男らしい体型が形作られていきます。女子も同様に乳房の膨らみに始まり、陰毛の発生、そして初経を迎え、次第に女性らしい身体へと変わっていきます。

男子も女子も二次性徴の大きな転換期として精通と初経によることが知られています。只、男子においては精通がいつ始まったかを特定することが難しい場合があります。遺精や夢精という現象が起こり得るからです。

3 ここでは精通と初経がいつ起きたかについて調べてみたのがあります。「いつ始まったか分からない」というのを除いて年齢が特定できたものと未だ起きていないと明確に答えたもののみを取り上げてみました。男子の平均年齢は12.7±1.5歳(8~15歳)で、女子12.1±1.1歳(9~15歳)と女子において早く有意差を認めております。しかもこの調査では女子は全員が初経を経験しており、男子は80%しか経験していないということが示されております。

次に、二次性徴の発達過程においてどのような思い(イメージ)を抱いていたかについてみてみましょう。

男子は陰茎等の外性器の発達、女子は乳房の膨らみについてみますと「嬉しい」「楽しい」「安心した」「大人に一歩近づいた」「誇らしい」という5項目をポジティブ要因として捉え、「恥ずかしい」「怖い」「不安」「気持ち悪い」「面倒」をネガティブ要因と考えてみますと女子は男子に比べポジティブ要因は低く、ネガティブ要因も低いものの「面倒」と捉えているのが男子よりも勝っていました。

4 陰毛の発生については、女子は男子に比べポジティブ・ネガティブ共に低く「大人に近づいた」「恥ずかしい」「気持ち悪い」がほぼ同じで、「面倒」という思いを男子よりも強く抱いていたことが示されています。

精通や初経についてみますと男子はポジティブ・ネガティブ共に均等に分布されて描かれていますが、女子は「嬉しい」「楽しい」「誇らしい」というイメージを抱くものは低く、「不安」や「気持ち悪い」が男子と同等の値を示し、「面倒」という思いを多くのものが強く抱いていたことが示されています。女子は乳房・発毛・月経という二次性徴の発達に対して面倒なこととネガティブなイメージとして多くが抱え込んでいるようです。

5 おとなへの体型になっていくという発達過程の思いについてみますと、男子は全体としてポジティブ要因がネガティブ要因に比べ高くなっていることが示されています。特に「嬉しい」「誇らしい」思いが強く表れています。女子は男子に比べ全体として低い評価を示していました。女らしくなるという悦びを感じていないようにも思えます。女性へと一皮剥けていく過程で疲れを感じているのかもしれませんね。

尚、この評価は、「非常にそう思う」を3点、「ややそう思う」2点、「あまり思わない」1点、「全く思わない」0点とスコアリングし重みづけでもって採点をしております。6

二次性徴に対する意識からみえてくるものとして、男子は二次性徴の発達過程を良きにつけ悪しきにつけ直視下にみつめながら歩んできているようにも思えます。一方、女子は冷めた目でみており、「面倒」という冷ややかで煩わしいという印象を抱いているように思われるのです。

その表れが「中学時の性教育の有用度評価」であり、性に関する会話も友人間において殆どしないが過半数を超え、まして教師や両親においても9割強がなされていないことで裏打ちされているのではないでしょうか。

7 「性は生」光輝いて生きることという温もりのある性教育でありたいものですね。両方向で語り合い考えあうというようにして、「性に対する価値観」を改めて見詰めなおすときではないのでしょうか。

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「性に関する悩み」

 

 インターネット医科大学で「女性の性と健康科」を20013月に開設していらい多くの女性から相談を受けてきました。その内容を解析して「ネット上でみる女性の性についての健康相談の現状」と題して日本母性衛生学会誌(474625632頁、2007年)にも発表してきました。これは2003年から3年間の705事例を集計解析したもので、平均年齢31.7±6.8歳と30歳代女性からよせられるものが多く、月経不順や不正性器出血等といった月経の異常に関連するような悩み相談が35.2%、年齢層が35-44歳女性で37.5%を占めておりました。次いで性感染症(STD)やセックスに関する悩み等の相談事例が多く33.3%でした。セックスに関する悩みを相談されてくるのは比較的中高年女性が多く45歳以上で40.6%も占めていました。年代の若い方は帯下の悩みやSTDに関連するようなものが多いのですが、セックスそのものに関する女性は年齢の高い方に多くみられました。

 これは実際に昨年末に寄せられた事例で印象深いものでしたので紹介してみたいと思います。50歳後半の女性からのものです。

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「独身女性です。性体験は少なく初体験も30代でした。その相手とは10年以上続きましたが、住む場所が遠く一カ月に一回程度、その時は一晩に三回が通常でした。その後、私も親の介護や仕事に追われ10数年が経ちました。先日、久々にその人と一晩過ごしました。ところが、すごく痛みを感じてしまい、しかも指一本しか入りませんでした、その後、相手から「処女膜強靭症」と言われ調べたのですが納得がいかず、更に調べましたら「性器老衰症」と言うのがあり思い当たりました。因みに閉経して3年ほどです。

相手にその事を伝えると、年齢のせいではない、昔から私は狭くいつも痛くて良かった時はなかったと言われてしまいました。今までの女の部分を全て否定されたような気がしてすごく落ち込みました。「良かった」と言ってくれた事もあるのですが、忘れたのか、嘘だったのか。

強靭症の場合、最初から本人にも痛みがあるようですが、私は今回まで一度も痛みを感じた事はありませんし、指一本しか入らないと言う事もありませんでした。生理もいたって順調でしたし、日常生活に支障を来たすような辛い思いをした事もありません。

今も健康そのもので年齢より10歳以上若くみられます。今回の件ですごく年取った気分になってしまいました。

私はもう「女」としての役目は果たせないのでしょうか?強靭症の場合、手術ともありますが、今更そこまでする気もありません。何か方法はないのでしょうか?

体より心がまいってしまっておりますので、先生のお言葉で少しでも心が晴れたらと思い、勇気を出して相談させて頂きました。

よろしくお願い申し上げます。

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 というものでした。

 その時に差し上げました内容は、以下のものです。

「処女膜強靭症」や「性器老衰症」というようなことを気にされているようですが、そのようなことは無いと考えて頂いて宜しいかと思います。

しかも、閉経が3年ほど前ということであれば、そして、「生理もいたって順調でしたし、日常生活に支障を来たすような辛い思いをした事もありません」ということを考えましたら、女性として、充分に素晴らしい機能をもたれていたと考えます。内分泌学的にみてからみても全く問題はないかと指摘することができます。

それが、「今も健康そのもので年齢より10歳以上も若くみられます」というお言葉に繋がっているのでしょうではないかと思いますよ。女性として輝いておられ、とても素晴らしいことではないでしょうか。

今回のご相談事として「先日、久々にその人と一晩過ごしました。ところが、すごく痛みを感じてしまい、しかも指一本しか入りませんでした」ということですが、それは、その時のパートナーの性的営みに問題があったのではないでしょうか?

以前からも性的営みができていたのであれば、ご本人のお身体には、なんら問題はないと思います。

パートナーの年齢がわかりませんが、「性の営み」を、早急的に考えて一方的になり過ぎていたのではないでしょうか?

お互いが年齢を増すことによって、「性の営み」は、若いときに比べ時間が必要となります。挿入、そして射精というような簡単な営みであってはならないのです。充分に時間をかけて、そのひと時をお互いが楽しみ合えるような余裕を持った「性の営み」を持つことが大切なのです。

特に、女性は、「性の営み」という悦びに繋がる重みを感じるのは年齢が重なることによって、ひとしお強くなるもので余韻も深く長くなるものです。男性が射精時に感じる単純なものとは大いに異なるもので、心からお互いに性を慈しみ感じあう深遠なものに変えていかなければならないのです。スローセックスとでもいわれているようですね。

先ずは、「指一本しか入りません」ということより、指が自ずと入るようになるまで潤いを感じることです。「性の営み」は、鏡像効果(ミラーリング)といって、相手(パートナー)の反応をもってお互いの愛情を確かめ合うのです。

それが、お互いの絆を深め合う「連帯の性」であり、お互いが喜び合えれば「快楽の性」となり、「生殖の性」という3原則が生まれるのです。たとえ「生殖の性」が終わったにしても、「連帯の性」と「快楽の性」を営み続けるのが大切なことで、男女ともに更年期という波乱の時期を上手に乗り越えて実りある豊かなQOLを送ることになると考えます。

男性は、挿入、射精といった単純なセックスとしか捉えられないようでは困りますね。奥の深いものとしてお互いが慈しみ楽しみあう快楽の性という大人の営みに代えていかなければならないと考えます。そうしていかないと男性のED(勃起障害)はもとより、セックスレスは増え続けていくのではないでしょうか。

一方的な「性の営み」にならないようにお互いが、そのときを大切なことと考えてくださいね。

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この度は沢山の相談がある中、ご丁寧なご回答ありがとうございました。的確なだけでなく、お優しいお言葉に力を頂きました。

先生がおっしゃるように自分の健康と若さを誇りに思って、明るく生きていきたいと思います。

お返事を頂きました時刻が午前3時をまわっているのを見て、申し訳ない気持ちになりました。

日に日に寒さが厳しくなってまいります。「医者の無養生」になりませんようくれぐれもお体ご自愛くださいませ。

本当にありがとうございました。

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というお返事が返ってきました。

また、この内容は、先日のサンデー毎日の「セックス再開法」という取材に応じたときに思い起された事例でした。

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サンデー毎日の「セックス再開法」

1128日号のサンデー毎日にご無沙汰夫婦に捧げる「セックス再開法」』と題して『「セックスレス」とNHKの有働由美子アナウンサーが朝から連発したのは今年の一大ニュースかも。その勇気は買おう。が、本誌はテレビが伝えきれない、再びヤレる方法を披露する』という記事が掲載されました。そこには、「うちは盆暮れ」「うちなんかオリンピック。金メダルもの」。母親同士が集まるとセックスレス自慢に花が咲く…。という書き出しで始まっております。1_3

そもそもセックスレスとは、夫婦間で性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上ない場合を指していますが、実際にどれくらいの夫婦が「セックスレス」といわれているのでしょう?平成20年の厚労省の科学研究班の報告によりますと、サンデー毎日でも取り上げていますように36.5%とあります。でも、この数値は男性から寄せられた回答です。女性からの回答は41.5%でした。それを、35歳を境にしてみますと35歳以上の既婚女性は45.7%と半数に近い夫婦がセックスレスだったのです。なぜでしょう。その理由をみますと夫の言い分は「仕事で疲れている」が24.6%、「出産後何となく」13.6%、妻は「出産後何となく」21.0%、「面倒だから」18.8%でした。35歳以上の夫の言い分は「仕事で疲れている」26.5%と4人に1人と多くなっています。また、妻側の理由をみますと「面倒だから」が22.3%となり、「出産後何となく」13.5%と少なくなっています。逆に、35歳未満の女性の2人に1にはセックスレスということになります。また、「出産後何となく」から「面倒だから」への移り変わりも「子育てに追われている」から面倒となっているようにも思われます。

産後のセックスレス!

男女ともにお産を境にしてのセックスレス。サンデー毎日でも取り上げていましたが、「夫も妻も出産を理由とする割合が高いことが分りました。育児に追われていることが一つ。また、女性は産後、出血や悪露が止まれば性交が可能になるのに、怖がる人が少なくない…」と記載されています。

私のところに、35歳女性から「産後にセックスレスになってしまいました」という相談メールが寄せられてきました。その内容は、「セックスレスに付いて相談させて頂きます。36歳の夫、2歳の娘、専業主婦の私の3人家族です。妊娠中期あたりから胸を触られるのがとても嫌になりそれが現在まで続いています。おっぱいをあげる時は苦にならなかったのですが最近は娘にも触られるのが嫌です。胸を触られなかったらセックスはなんとか出来ますが、全く感じないので痛くて余計したくなくなります。出産後今まで2回ぐらいしかしていません。主人にはそれとなくはセックスが怖いと伝えていて、無理やりするということは絶対しない人なので我慢していてくれています。主人の事はいまでも大好きで手を繋いだりセックス以外のスキンシップは全然大丈夫なのですが…」というものでした。

産後のセックスレスは、サイトを検索してもかなりの量で取り上げられています。これでは二人目のお子さんを望むのもかなり困難なことではないでしょうか?この「セックス再開法」につきましては、1128日号のサンデー毎日で詳しく取り上げていますので本誌を参考にされるとよいでしょう。2_2

「クーリッジ効果」と「鏡像効果(ミラーリング)」

ここでは、「誤ったセックス観」について話を進めてみたいと考えます。男性の浮気が何故起きるというお話に「クーリッジ効果(Coolidge effect)」という言葉がでてきます。これは新しいメスの存在がオスの性衝動を活気付けることを意味しており、男性の浮気がこれで説明ができるということでよく出てくるようです。この逆としてメスに別の新しいオスを入れることによって前のオスからの受精卵の着床阻害や流産が起こることが実験系で示されております。このことを「ブルース効果(Bruce effect)」と呼ばれております。この説明はスライドで示す程度にしておきます。

その他に「鏡像効果(ミラーリング)」という言葉があります。ミラーリングとは、心理学の用語からきているもので、親密な関係では相手と同じ動作をすることが多いということからきており、相手と同じ動作を意識的に行うことで親密な関係を構築することができるというものです。 

いずれも誤って捉えられていることが多いようです。7年程前にGQ Japanという男性向けの雑誌社から取材を受けたことがあります。男性1,000を対象としたセックス観に関するアンケートの内容でした。その

時の興味ある結果を思い起こしました。セックスをするとき何が大切かとの問いに「自分が気持ちよくなること」、「相手が気持ちよくなること」、「二人とも気持ちよくなること」という3つの選択肢を設けて、相手が妻の場合、恋人の場合、セックスフレンド(セフレ)の場合と回答を解析しているのです。その結果をみますと、「二人とも気持ちよくなること」が妻や恋人ではともに60%を超えており、セフレの場合は45%と低かったのです。しかし、「相手が気持ちよくなること」については妻の場合20%、セフレでは35%と高値を示し両者間に有意差(p<0.01)を認めているのです。3_2

セフレさんと行うように男性は常に相手が悦んでくれるような性の営みを持つことが優先されるのではないでしょうか。相手が悦びを感じてくれば自らも悦びが身体の中を駆け巡ってくるはずです。女性の悦びの泉を開くためには荒々しい営みは避けるべきでしょう。あくまでもソフトで優しい気持ちを身体でもって囁くことではないでしょうか。

「夫婦のセックス」のサイト様からのコメントを戴いていります「セックスレスの事例と致しまして妻がセックスを楽しいものと思わなければ、夫の欲望に次第についていけなくなり、セックスに価値を見出さなくなる。なぜなら多くの女性が真のオーガズムを知らないため、男性と同等のセックス観(有体に言えば欲望)を持つことができません。ただ単に夫と良い関係を持ち続けたい又は義務として、セックスにお付き合いするため、男性任せのセックスに終始する。そのマンネリがセックスレスを招く。セックスレスに意外に多いのが、こういった女性ではないでしょうか?こんなセックスを長年続けていれば、飽きてセックスレスになるのも当然です」とセックスレスの問題を取り上げております。詳しくは「夫婦のセックス」のサイト(http://www.huhusex.com/)へ訪ねてください。

さらに、セックスレスの解決法として「出産などの外的要因でセックスから離れなければならない時期の前に、良好な性関係を築くこと」が大切だと述べておられます。「この時期に女性がオーガズムを知り、夫婦間の性的なコミュニケーションができれば、外的要因に影響されないその夫婦なりのセックスの仕方が続くでしょう」とあります。つまり、「男性も女性も、女性の快感をおろそかにしないことが大切だ」と伝えております。

性の営みに欠かせないこと

セックスとはお互いの反応をみながら、二人で歓びを分かち合うものです。疲4_2 れているときや大変なお産をした後、また、育児に追われているときこそ、お互いが癒しやいたわりの気持ちを満ち溢れさせながらセックスを謳歌することが大切なことではないでしょうか!疲れなんかたちまち消え去ってしまいますし、いつまでも新鮮な気持ちで繋がれていくのではないでしょうか。セックスの鏡像効果(ミラーリング)を大切にすることです。

「性の三側面」と致しまして、お互いが裸になって結ばれるのですから、そこにはお互いの心の絆を強める「連帯の性」があります。そしてお互いが歓びを分かち合うといった「快楽の性」がうまれてきます。この両輪がうまく絡まっていき「生殖の性」がもたらされるという考えです。そして「生殖の性」が終焉を告げても「連帯の性」と「快楽の性」がもたらす二人の強い絆によって不惑の時ともいえる更年期を乗り越えて実りある豊かな夫婦の営みが永続していくのではないでしょうか。

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児童虐待の背景にあるもの(その2)

いい親と子の関係とは

711日に起きた5歳の女の子の虐待事件、これは24歳になる母親と無職で内縁の夫26歳によるものだ。長崎では5歳になる男の子に暴行したとして、31歳の母親と交際相手である31歳の男性が逮捕されている。さらに8月には生後1カ月半の次男を床に落とし、頭に大けがをさせたとして、傷害容疑で逮捕された23歳の母親。「育児に疲れた」といっている。今月12日には、耳の不自由なホームレス男性に熱湯をかけて大やけどを負わせた中学3年生の男子が逮捕されている。なぜこのような無残な事件が起きるのだろう。親と子の間に何かが起きている。その真実に迫ってみよう!

離婚件数が年間30万件と急増し、婚姻3組に1組が離婚していることになる。そこには経済的問題や子どものことで悩みを抱え込んでいることを明らかにしてきた。45歳未満の離婚した女性の半数以上が子どもを抱えての離婚という事実がある。その親権者となるのは母側であり8割を越えている。1_2

離婚を親権者からみると離婚したことによって母子関係は「良くなった」と答えるのが28.1%、「悪くなった」はわずか4.1%である。また、子どもの情緒面の変化として「安定してきた」と考えているのが25.3%と4人に1人の割合だ。反面「不安定になった」と捉えるものは17.4%もいる。これは決して少ない数値ではない。子どもの立場から考えるなら、父親がいなくなるということは、心細く不安な思いに駆られているのではないだろうか?子どもらの情緒面は大きく揺れ動いていることであろう。2_2 

児童虐待は

近年、児童虐待として取り上げられるケースは富に増えてきている。このグラフは全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数の年次推移を示したものだ。統計を取り始めた1990年では、わずか1,000件ほどであったのが2006年には37千件を超えている。この間、2002年には児童虐待防止法が施行されている。この急増する虐待件数は、潜在していたものが法令により顕在化してきたものが多くを占めていると思われる。反面、離婚の増加に負うところも大きく寄与しているのではないだろうか!3_2

その法令による児童虐待とは18歳未満の児童を対象として、身体的虐待、ネグレクトによるもの、性的虐待、心理的虐待の4項目を挙げている。特に、注目したいのはの心理的虐待が取り上げられたことである。のいずれにも該当しないものと定義されているが、実際は親も気付かない身体的、ネグレクト的、性的なものによって子どもたちの心を大きく蝕んで情緒面で弊害を与えていることも大きい。この、心的外傷後ストレス障害(PTSDPost-traumatic stress disorder)とは、生命の危機的または重大な出来事が、幼い心に加えられた衝撃的な傷となり、様々なストレス障害を引き起こす疾患を指し、記憶の回避や忘却傾向、幸福感の喪失、感情鈍麻などといった症状を呈するとまでいわれている。4_2

では実際に報告された虐待として内訳をみると身体的虐待が41.2%と最も多い。次いでネグレクト38.5%、心理的虐待17.2%であり、性的虐待は3.2%と少ない。しかし、この性的なものも少しずつ顕在化し増えてきているという。中高生の高学年において増えてきているようだ。この性的な問題は必然的に内へうちへと引き籠りがちで心理的なものとなり、そのトラウマが後々に大きな弊害をもたらすことが考えられる。5_2

報告された主たる虐待者についてみると実の母親が62.8%と最も多い。次いで父親の22.0%、実父以外の父、これは継父や内縁の男性を意味しており6.5%と少ない。しかし、ここでは主たる虐待者となっているため新しい男と子どもの間に立つ母の心の中で葛藤が生じ顕在化する事例も多く含まれているのではないかとも考える。6_3

母親が虐待者となる要因を考えるなら、リプロ・ヘルス情報センターの「幼児虐待の問題」でも示しているように望まない妊娠・出産で生まれてきた場合に多いことが一つあげられる。

http://homepage3.nifty.com/m-suga/childabuse.html

望まない妊娠であった場合は往々にして夫からの協力や理解が得られないことがみられ、それに対する反発も気持ちが考えられる。そして、それが高じて育児に対するストレスや疲れ・戸惑いも要因となりうる。その多くはネグレクトによる育児否定だ。その結果、離婚という選択肢に達することにもなろう。7_2

反面、再婚して相手の男に子どもがいた場合も、その子に対する嫉みを抱くことも考えられる。逆に自分に子どもがいて、相手の男性との狭間に立って葛藤し、子が邪魔な存在という考えも生じるようになるだろう。

虐待される子どもたちは

虐待相談がなされた児童の年齢構成をみると3歳未満の幼児、3歳から学童前の子どもが40%を占め、小学児童も4割であり、中学、高校生は20%にも満たない。しかしながら、中学以上の発生件数が徐々にではあるが増加してきているといわれている。性的なものが増えてきているようだ。この手の被害は表に出ないことが多く、心理的なものとなって後々傷害を発現することはすでに述べた。成長期の子に与える心理的トラウマは大きい。 8_2

次に、東京都福祉保健局の児童虐待の実態「輝かせよう子どもの未来、育てよう地域のネットワーク」の報告から虐待児童の重症度についてみると「生命の危機有」1.7%、重度8.9%、中等度25.4%、軽度39.9%とある。メディアに表れるのは生命の危機ありや重度虐待であり氷山の一角といえよう。このグラフをみるに当たり可能な限り早く、軽度のものを見出し対応することの重要性を指し示すものと考える。虐待が開始されてから児童相談所が一時保護するまでの期間は厚労省の報告では3年以上が24%と、1年から3年未満の20%よりも多い数値が示されている。このように虐待を受けている子どもらは、徐々に広がりをみせ次第に重症化していく様相を呈しているようだ。9_2

虐待のある家庭は

実際に虐待として報告された家庭の状況をみると、ひとり親の家庭が最も多く31.8%と示されている。そして経済的に困窮している家庭が30.8%と続いていた。このことは、離婚することによって母親が抱える悩みとして経済的なことや子どものことが70%以上あったと前に述べたが、その背景とよく一致している。

親族や近隣から孤立している家庭が23.6%、夫婦間不和20.4%、育児疲れ18.9%と続いている。しかも、ひとり親家庭と経済的に困窮している家庭が、そのあとに続く親族・近隣から孤立している家庭や夫婦間不和の家庭とが合わせもった複雑な家庭を構築しているようだ。親族や近隣からの孤立は母が子育てしていくうえには極めて不利な条件となる。夫婦不和が続けば、育児にも当然その弊害が現れ、離婚への選択肢を考えざるを得なくなってくるのではないか。益々追い詰められていく母親像がみえてくる。10_2

その追い詰められていく母親の姿が、虐待者となった心身の状態として、「特に問題なし」から「性格が偏り」はじめ、人格障害となって表れ、精神・神経症となって重症化しているのではないだろうか!虐待児童の重篤度にも比例しているようにも思われる。 11_2

追込まれる母

追い込まれていく環境の下で親から育てられていく子どもへの心理的影響は極めて大きいと思われる。情緒が不安定になり精神的発達の遅れをきたすであろう。性格の偏りが引き継がれていけば、次世代への影響も考えなければならない。12_2

虐待を行った者たちのその行為に対する認識も考えなければならない。虐待と捉えずに単なる躾であると考えているのであれば、その子どもに対する虐待は虐待として続けられていく。虐待を否認したり、行為は認めるが言い逃れをしたり、その行為を躾と主張するのが多い。しかも男に!継母にもその考えを持っていることが多いようだ。また、虐待をしていると認め何らかの支援を求めているのは実母に多いことが明らかに示されている。産みの親としての心がそうするのであろう!

児童は人間発達の段階にあり、特に8歳までは心を形造るうえで重要な時期である。それ以降は心が完成していくプロセスにある。その中で受ける傷は精神面で大きなトラウマを抱え込む。発達する過程にある子どもは、繊細な心を持ち多感である。子どもを持つ親たちは子心を知ることが大切である。自分のことより子に未来を託してはどうだろうか!

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児童虐待の背景にあるもの

最近、児童虐待で新聞の社会面を賑わしていることが多くなってきた。10月の8日に「5歳の長女を虐待して大けがを負わせたとして、京都府警捜査1課と宮津署は7日、傷害の疑いで、宮津市鏡ケ浦、無職○真○子容疑者(24)と内縁の夫で無職藤○啓○容疑者(26)を逮捕した」との報道には目に余るものを感じた。頻発する児童虐待の背景に、「再婚者の連れ子に対する嫉妬・憎悪(いわゆる継子いじめなど)」といったものや「離婚後、新たに生計を共にする者にとって邪魔な存在」として生じることが多いという。いわゆる継子いじめが背景に隠されているのではないかと考えたくなる。

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そこでわが国における婚姻様式は「どのような形態をたどっているのか」について調べてみた。初婚件数の年次推移を水色の線で示している。1972年の年間初婚件数は91.5万組でピークを示している。これは第一団塊世代の結婚ブームの表れといえよう。次に1993年の65.4万組と小さなピークを示し、以降漸減しており、2005年には53.3万組と半減するほどまでにきている。ところが、再婚件数は1990年代までは10万組前後を推移していたが、2000年代に入り15万組を超えて2005年には18.1万組と急増してきている。初婚に比べ3分の1が再婚組となっているのだ。

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再婚が増えるということは、離婚のカップルが増えていることになる。その離婚件数の推移を調べてみた。1960年頃、離婚件数は底値をついていたが1970年頃より増え始め1983年には17.9万組と一つのピークを作っていた。これは離婚したものの多くが10年間の同居生活で区切りがつけられるという説に呼応するかの如く第一団塊世代のものによるものと推察できる。その後、離婚ブームは、一時的に収まることが示されている。10年を一区切りとして1992年には17.9万組と同じ値を示してきている。その後、漸増し2002年に29万組となって大きなピークを作り、以降再び低下し始めている。2008年の25.1万組という数値は、おそらく下げ止まりを示し、その後上昇するのではと推測できる。

初婚と再婚組を合わせた数値を婚姻件数として分母に用い離婚件数を分子にし離婚率を求めると、1970年代後半よりパラレルに推移していることが示されている。そして2000年より3分の133.3%を超えており、結婚3人に1人が離婚していることになる。

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離婚した女性の年齢を5歳階級別にして女性人口1,000人に対しての離婚率でもって1975年から2005年を4つに区分して40年間の年代間の構成比をみると、その3つの違いが明らかに示されている。先ず、第一は各10年間ごとに、その曲線が上方に膨らみをみせている。離婚件数が確実に増えていることを示している。

次に、各年のピークが25-29歳であったのが、2005年は30-34歳へと移行してきたことである。晩婚化の一つの表れ現象を示していると思われる。

更に、特徴付けられるのは、30歳後半、40歳代への膨らみが増して、熟年離婚という形態が窺われている。このように離婚者の増加に伴って、離婚年齢のピークが25歳後半から30歳前半へと、そして熟年離婚という推移が見て取れる。

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この離婚が経済状態と大きなかかわりがあるか否かをみてみよう。先に述べた離婚件数の年次推移を一次回帰式で傾向線を求めその乖離を離婚の場合はマイナス値として求め、景気を実質GDPの年次推移を同様に回帰式で求めプラス値は景気上昇としてプロットしたのが右のグラフである。

1980年頃より景気が下降するに先立って離婚件数が増加し下方に推移し、景気の上昇と共に離婚数も減少し上方へとプロットされている。2000年から景気の低迷と共に離婚数は増加し下方へとプロットされている。離婚は景気の変動と共に推移していることが明らかなようだ。

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離婚後の就業形態と経済状況について、厚労省統計局の人口動態社会経済面調査報告の平成9年度「離婚家庭の子ども」調査より覗いてみることとする。

下段に離婚後の就業形態を女性側からの視点で示した。常勤職に就くものが37.6%、( )内の数値73.5%は夫であった男性の常勤職についている割合である。パート・アルバイトが37.1%であり、2つ合わせて4分の3を占めている。男性がわずか1.2%にしか過ぎない。ここに男女間の大きな違いが垣間みえる。無職というのも18.6%と女性に多い。

そして上段に離婚したことによって経済状況が苦しくなったと答える者の出現頻度を示した。全体で女性は61.2%が「苦しくなった」と答えており、男性は35.7%である。パート職66.8%、家庭内職73.3%、無職64.6%といずれもが平均を上回って財政に問題を抱え込んでいることが示されている。離婚することによって女性の財政は厳しさを一層強く増すことになる。

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離婚することによって生じた悩みについて聞いている。親権者となった女性1,549名中1,436名(92.7%)が悩みを抱え込んでいる。その大きな理由に「経済的なこと」(78.8%)であり、「子どものこと」(72.0%)である。次に多いのが「仕事と子育てのこと」が46.9%、「就職のこと」29.2%と続いている。女性は離婚することによって、経済的問題と子育て問題が大きくのしかかってくる。

離婚に際して親権を行使するのはどちらかということになる。親権を問わない離婚は全体で42.7%、25歳未満26.6%、25-3439.4%、35-4430.4%、45歳以上69.8%とある。生殖年齢にある女性の7割強は子どもを抱えての離婚となっている。しかも、親権を行うのは常に女性が殆どといえよう。15-2488.1%、25-3485.9%、35-4479.0%、45歳以上74.9%となっている。

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わが国の離婚という現象、実態をみるにつけ、その数は景気動向に合わせ確実に増加傾向を示している。しかも7割の女性が子どもを抱えてのものとなり、その8割が子どもを引き取り育てることになる。子育てと経済状況が重く壁となり圧し掛かっているのが現実となって表れている!

健全な子育てのできる環境とは、一体どのように考えていけばよいのだろうか?次回は、児童虐待の現実について考えてみたい。

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