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高齢者の『性』の捉え方を文学から学ぶ

6.高齢男性の『性』捉え方を文学から学ぶ

「高齢者の性」についてどのように捉えているのか、文学の世界から23取り上げてみたいと考えます。老人の性を描いたものには、谷崎潤一郎の「鍵(1956)」、「瘋癲老人日記(1962)」や川端康成の「眠れる美女(1961)」に代表されているようですが、渡辺淳一の「失楽園(1997)」から男性の視点で捉えてみたいと思います。

6-1.渡辺淳一の「失楽園」からみる高齢男性の捉え方

渡辺淳一の「失楽園」に男性の性の捉え方の鍵が隠されています。参考に特徴的なところを拾い上げてみます。

ある出版社の編集の第一線から閑職の調査室配属を命じられた久木祥一郎(54歳)の前にカルチャーセンターで書道の講師をしている松原凛子(37歳)という美しい人妻が現れ、“楷書の君"と呼ばれているほど折り目正しく淑やかな女性に恋い焦がれていく久木との不倫関係を描いた物語です。

①受動より能動のほうに、男としての生き甲斐を見出していく

メスに比べて本質的に性の快楽自体が薄いオスは、自らの快楽に浸るより、相手が満ちてのぼり詰めていく、その経過を確認することで満足し、納得する。とくに久木(54歳)の年齢になると、若者のように荒々しく求める気持ちは薄れ、むしろ相手に悦びを感じさせ、満ちて果てさせる、その受動より能動のほうに、男としての生き甲斐を見出していく。相手だけに一方的に心地よくさせて、それで満足できるのかと、首を傾げる女性もいそうだが、はじめからお前は能動で導く側と決められていると、それはそれなりに腰を据えて楽しむ方法もある。

たとえば凜子(37歳)のように、初めは慎ましやかに、楷書のようにきっかりした女が、さまざまな拘束から解き放たれ、悦びを知り燃えていく。そしてさらには、一人の成熟した女として奔放に振る舞い、ついには深々と淫蕩な世界に耽溺する。それはまさしく女体が崩れていく過程だが、同時に女体が秘めていた本然に戻る姿であり、その変貌を見届けることほど、男にとって刺激的で、感動的なものはない。

その経緯をつぶさに見れば、人間が、女性が、そして女体が、どのようなもので、そのなかになにを秘め、どのように変わるのか、その実態を軀でじかに感知することができる。

ポイント:若者のように荒々しく求めるのではなく、相手に悦びを感じさせ、満ちて果てさせることが大切なことではないでしょうか。

② 鏡像効果(ミラーリング効果):「男もそれに煽られ、追いかけて…」

だが、観察者や傍観者として得られる悦びにも、自ずから限界がある。いかに自らは性の開発者で観察者だといったところで、性が軀と軀で接がり、結ばれている以上、一方だけが受身で一方だけが能動などということはありえない。たとえ仕掛けは男が企んだとしても、女がそれを感じて燃え上がり、走りはじめれば男もそれに煽られ、追いかけて、気がつくと男も女も無間地獄のような性の深みにどっぷりと浸かっている。

快楽へのぼり詰める道筋は違うといっても、ともに離れがたく思っている以上、一方だけが地獄へ堕ちるなどということはありえない。

鏡像効果とは相手の反応をみて自らも応えて昂ぶりを示し、それが相手にもつながってお互いにたかめあっていくことを意味しています。

渡辺淳一『失楽園(上)』、株式会社講談社、199737日、第3刷発行、4142頁より

③ もともと性の快楽そのものが薄い男達

もともと性の快楽そのものが薄い男達は、行為そのものより、それに関わるさまざまな反応のほうに関心を抱く。それは愛する女性の燃えていく姿であり、声であり、表情である。それらが万華鏡のように変化しながらゴールを目指して駆けていく。それを知り、実感してこそ、男ははじめて軀と心と両面から満たされていく。

この求め方は、例えばさほど内容のないものに様々に付加価値をつけて、売りつける商法に似ているかもしれない。単純な快楽だけでいえば、男のそれは女性には敵わない。いまだ性的に開発されていない女性ならいざ知らず、豊かに成熟した女性なら、男とは比較にならぬほど強く深く強く感じていく。そのハンディキャップを埋めるために、男達はこれらの付加価値でカバーしていくよりない。

渡辺淳一『失楽園(上)』、株式会社講談社、199737日、第3刷発行、7172頁より

④ 男の高ぶり自体が大脳と密接に関わり、きわめて精神的なもの

性に関わることは、ただ若ければいいということではなさそうである。もともと男の高ぶり自体が大脳と密接に関わり、きわめて精神的なものであるだけに、怯えや不安や、自信喪失などがあっては、ことはスムーズに運ばない。

若いときは体力はあっても、往々にして、その種の精神的な自信に欠けることがある。

それは久木自身にも経験があって、かって入社したころ、5歳年上の女性と際き合っていたことがあった。彼女は新劇の女優の卵で、新宿のバーで働いていたのだが、以前は芸能界でもプレイボーイといわれたプロデューサーと関係があったらしい。もっとも男とはすでに別れていたが、いざ彼女と結ばれる段になって、その男のことが久木の脳裏に甦ってきた。

困ったことに、男は面子とか意地とかいうものにとらわれ易く、女性を抱く以上は、前の男より巧みで、よかったといわれたい。

だがそう願い、そう努めようとすればするほど焦り、萎縮してしまう。

男達がよく、「男のほうがデリケートだ」というのはそのあたりのことで、なまじかな若さより、女性に対する安堵感や自信をもつことのほうが、はるかに大事で有効である。

久木がその女性と接したときもそうで、気ばかり焦るが肝心のものが役に立たず、容易に行為に移れない。いわば、想像のなかのプレイボーイに、若さの肉体が負けたのである。

もっともそのときの女性の対応は、いま振り返っても見事で、萎えて焦っている久木に、「大丈夫よ」といいながら、自信をとり戻すまで優しくつき合ってくれた。

⑤男も女によってつくられる

それにしてももしあのとき、彼女が退屈そうな顔をしたり、冷ややかな言葉を投げかけたら、久木も若くして自信を失い、性的なコンプレックスに悩むことになったかもしれない。

その点では、男も女によってつくられる。あるいは、育てられるというべきかもしれない。

 十分満足させたという、リード役としての喜び

いま、久木が凜子を燃え上がらせている原動力も、元をただせば、そうした女性達に育まれてきた結果、といえなくもない。

女性とともに果てるのもいいが、女性がのぼり詰めて先に行くのを見届け、実感するのも悪くはない。前者は自ら快楽に溺れる悦びだが、後者は、愛する女(ひと)を快楽の花園へ送り届け、十分満足させたという、リード役としての喜びがある。

渡辺淳一『失楽園(上)』、株式会社講談社、199737日、第3刷発行、7576頁より

 女の性感は男によって触発され、開発されていく

それというのも、もともと女の性感は男によって触発され、開発されていくようである。いいかえると、男が近付き、刺激しなければ、女の悦びが目覚めることはほとんどありえない。これに反して、男は生まれながらにして性感を身につけている。少年期、なぜともなく股間のものが蠢き出し、触れるだけで心地よく、自ずと自慰をおぼえて激しい快感とともに射精する。

その過程において女性の手助けは不要で、しかも、その快楽は、現実に女性と接して得る悦びとさほど変わらない。むろん同じとはいえないが、下手に、面倒な女性と接するくらいなら、一人で楽しむのも悪くはない。精神的なものはともかく、単純に快感だけにかぎれば、女性に導かれて目覚めるという類のものではない。

要するに、男の性が初めから一人立ちしているのに対して、女のそれは、しかるべき男性に開発され、啓蒙されて、ようやく一人の成熟した女性となっていく。

渡辺淳一『失楽園(上)』、株式会社講談社、199737日、第3刷発行、220221頁より

6-2.老いのセクシュアリティ

山折哲雄氏は『旧約聖書』の列王記上第1章第1節~第4節によると、「晩年のダビデ王は老齢のため服を重ね着しても体が温まらなくなったため、臣僕たちはダビデに若い処女を抱かせて体を温めようと考え、イスラエルの四方に美しい処女を求めたとあります。その結果、見いだされたのが、シュナミの美少女アビシャグを得てダビデに侍らしてそうでしたが、王は性の交わりには至らなかったという箇所を引用しています。

「王を暖める乙女の夜伽の話と、その美しく若い処女のからだを遂に知ることがなかった王の老残の姿には、たんなる夢物語のシーンを超えるような確かな手触りがある」と語っています。

森崎和江史は、『老いのセクシュアリティ-女にとってのいのちと性-』の中で、次のように引用しています。「…とある年配の女性を訪問した。彼女は一心に祈っていた。ときおりその声が高くなる。『…72歳の女の悩み、どうか、おききとどけを…』え!私は虚を突かれた。72歳の女ですって?72歳って、女なの。そのとき私は18歳。以来、老女に出会う旅を始めた。30代で亡くなった母のトシを、私は老いた女と思っていたふしがあるのだから。…」(岩波講座 現代社会学 第13巻『成熟と老いの社会学』、東京、1997

6-3.伊藤整が語る「高齢女性の性」

伊藤整は、岩波書店が発行している文学誌「世界」に19671月より老年の性を取り上げた『変容』を発表して話題となりました。還暦に近い日本画家の瀧田北冥の物語ですが、女性が60歳を過ぎても充分に性的に活発であり、男性は老年になってもなお、年上の女性に魅力を感じ60半ばの女流歌人、伏見千子について語っています。

「その豊かな崩れかかった身体の中に、深い層をなした思い出を生かし保っていた。人の姿や出来事の記憶、さまざまな機会の涙、怒り、笑い、情感が、遠い過去の反響としてその内部に醗酵し、美酒として満ちていた。多くの老女たちが魅力を失うのは、その精神の枯渇によるのだ。彼女らは生活を恐れて枠にはまり、乾ききってしまう。働きのない夫にしがみついた寄生虫となり、子どもたちの家庭のあまされものとなる恐怖や、少しばかりの財産への執着などに縛られて萎縮するのだ。伏見千子のように、師として歌人たちに取り巻かれ、自分の発表機関を持ち、文筆家として生活していると、その過去の総てが生きて、豊かな人間としての魅力になる、と私は思った」と魅力ある高齢女性を語っています。

また、65歳の舞踏家、前山咲子について、次のように語っています。

「私は老婦人の前山咲子が踊ったときに見せた強い色気を不自然だとは思わなかった。彼女は私より五つ年上であるが、その白髪が銀色の艶を帯びているところは伏見千子を思わせた。伏見千子は、背が私ぐらいあり、胸も厚く、腰も大きく、圧倒するような力ある裸身を開いて見せた。銀狐のように白さを点綴したかくしげに包まれたその暗赤色の開口部は異様に猛々しかった。いま私たちの前で踊り終えた前山咲子は、昔の印象とはちがい、もっと小柄で、その四肢も華奢であった。しかし、その小柄な丸みを帯びた身体の動きは、蝸牛か栄螺のような強く収斂する体質を思わせた。…舞踊のきびしい動作の中にその肉体を鍛えあげ閉じこめたかのように別な存在に見えた」と高齢女性の魅力ある肉体的特徴についても語っています。

7.最後のセックスのすすめ

1987310日付の毎日新聞の家庭欄に『“最後のセックス”のすすめ』という見出しの記事があった。それを紹介してみよう。

「人が死に臨むさいの最後の意識は、一番身近な人に『そばにいてほしい』欲求だという。夫婦なら、夫婦でしか触れることのできない“ぬくもり”を与えることが大切ではないか。ひとつのふとんの中でぬくもりを感じ合うことが『一人ではなかった。生きていてよかった』という確認ではないか-と“最後のセックスのすすめ”を説くのは、東京・中野区立堀江老人福祉センター主査、大工原秀子さん(54)。大工原さんの提唱による『性と死を語る会』が、このほど開かれた」と書かれてあった。

68歳の中沢さんは、82歳の夫を看病中だった。子どもがなく、最後まで自分の力で看取りたい、として大工原さんの指導を受けていた。その指導とは、皮膚を通しての最後の夫婦関係をなさったら、ということで、具合が悪い時は、しっかり抱きしめてあげてくださいと。性行為じゃなくても、性器は若いころからのいろいろな思い出がありましょうから、夫婦でしか触れられない性器へのぬくもりは最後のセックスですよ、というものだった。

とても印象的な教えだったので、最後の引用文として掲げてみました。

南日本新聞社編:「老春の門‐輝け!高齢化社会」株式会社ミネルヴァ書房、京都、1985415日発行

渡辺淳一『失楽園(上)』、株式会社講談社、199737日、第3刷発行

編集委員・井上俊他:『成熟と老いの社会学』岩波講座「現代社会学」13巻、株式会社岩波書店、東京、1997210日、第1刷発行

伊藤整:「変容」岩波文庫、96-2、株式会社岩波書店、1994616日、第4刷発行

大工原秀子:「老人の性」(株)ミネルヴァ書房、京都、1979525日、初版第2版発行

大工原秀子:「性ぬきに老後は語れない(続・老年期の性)」(株)ミネルヴァ書房、京都、1991110日、初版第1版発行

石川弘義、齋藤茂男、我妻洋(共同通信「現代社会と性」委員会):「日本人の性」(株)文芸春秋、東京、198461日、第一版

総編集:武谷雄二:新女性医学体系21生殖・内分泌部門:担当編集:麻生武志『更年期・老年期医学』(株)中山書店、東京、2001930日、第一版

 

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実態調査からみる『高齢者の性』

5.実態調査からみる「高齢者の性」

高齢者の性を取り上げた調査は数少ないようです。実験的に試みられた最初の調査は、1973年に大工原秀子氏の社会学的研究と思われます。この調査は、北海道の苫小牧市と奈井江町、東京都板橋区、愛知県一宮市の4つの地域で、老人クラブの会員で60歳以上の在宅老人を対象として行われたものです。この時期は丁度「高齢化社会」と呼ばれ始めたときでもありました。11


大工原氏は12年後の1985年に同様の調査を行っており、「高齢化社会」という深刻な問題として取り上げられた時期でもありました。この二つの時代背景からどのような変化が起きているのかを紐解いてみたいと考えます。

二つの調査の対象者の背景をみますと、男女共に60歳以上の有配偶率が高くなってきています。男性では7ポイント、女性で13ポイントも上昇しています。更に、年齢区分でみますと60歳代が男性で4ポイント、女性14ポイント上昇しておりやや60歳代が増えているということを念頭に入れておきたいところです。

5-1.高齢者の性機能

高齢者の性機能について問いかけています。男性の勃起能は60歳後半でも有ると答えているのが、1973年では75%、85年では83%と増えています。70歳前半でも76%と8割近くが勃起能を維持しているのです。性的能力は十分にあると云えます。12


女性の腟の潤滑についてみますと85年では60歳後半で濡れると答えているのが36%でした。70歳前半女性も28%が答えています。3割弱の女性が自力で受け入れることが可能だと云えます。だからと言って男性を受け入れるには少々リスクがあります。

なぜなら、高齢女性の腟壁は菲薄となり伸展性も少なくなっています。腟内も潤っていると云えども充分ではありません。高齢男性も勃起はしているとはいっても硬さも充分ではありません。腟内が十分に潤うためのサポートが不可欠です。そのためには様々な工夫が必要となります。

5-2.高齢女性は「性に目覚めている」

大工原氏の調査によりますと、1973年の調査によりますと女性の「性の営み」があるものは、年数回を含めましても44%にしか過ぎませんでした。それが12年後の調査では93%となっています。しかも月一回以上が56%と半数以上にもなってきています。13


性に対する意識が変わってきているのです。頻度は男性と異なってはいるものの対等となってきています。

初回の行われた調査は「高齢化社会」を迎えた時代であり、女性の大学進学率が急上昇し、女性解放運動が盛んに始めたときでもあり、女性の社会進出の兆しでもあったときといえましょう。

また、1985年に行われた2回目の調査の頃は、「女性差別撤廃条約」に基づき「勤労婦人福祉法」は抜本的に改正され「男女雇用機会均等法」が制定されたときでもあり女性の社会進出が多様化し始めていた頃でもありました。女性の多くの意識が大きく変わってきた頃といえましょう。

「性意識」も変化してきたようです。この時代において、男性は両調査においても大きな違いはみられていませんが、女性において大きな違いがみられています。両調査では、女性の4人に1人が「性」を謳歌していましたが、性の営みは男女対等になり始めてきたのです。14


さらに、2012年に行われたジェクス社の「セックス調査」では明確に対等になってきているのです。50歳から69歳までの中高年男女のセックスを月1回以上ある者の割合を2歳階級毎にみてみました。60歳を過ぎても男女とも5074%の割合でセックスが営まれています。「対等な性の営み」となってきているようです。

超高齢社会のなかにいる私たちは、今や「老人の性」ではなく、「高齢者の性」として新たな展開をもたらしてきています。

 

5-3.閉経後女性のセックス・スタイルの変容

閉経周辺(更年期)のセックス・スタイルが変化してきているのです。更年期に入りますと卵巣の機能が低下し始めエストロゲンの分泌が少なくなると前項で説明しました。エストロゲン減少のもたらす影響として、腟壁の潤いは少なくなってきます。腟壁もしだいに菲薄となり伸展性も乏しくなっていきます。まして、この時期には様々な不定愁訴に悩まれ更年期障害を抱え込んでいる女性も多くみられます。セックスなんて考えられるのでしょうか?

でも今では6869歳の女性でも6割が月1回以上のセックスを営んでいます。なぜでしょう?セックスのスタイルが変わってきているのです。

 1960年は65歳以上の男性では7割が妻と共に生活をしていますが、女性からみますと7割が未亡人となっていました。老齢の性は「厭らしいもの」、「汚らしいもの」として「閉ざされた性」となっていました。

② 2010年になりますと未亡人は4割と大幅に少なくなってきました。夫婦共に生活している時代になってきたのです。性の営みがかかわってきているのです。

 そこには性交そのものが欲求であることの多い男性も様変わりしてきました。確かに勃起する5060歳男性はいますが、その硬さは失われていることが多いのです。充分なまでの腟の潤いがないと挿入は難しくなっていることが多いのです。

 射出される精液量も少なくなり、射精時の極致感も弱くなっています。射精が必ずしも「性交」につきものではなくなってきているようです。

 この年代の女性は二人の関係性の中で、『愛されている実感』を希求しているのです。「受け入れる性」そのものが大切なのです。「繋がっている性」で満ち足りているのです。

 高齢男性も「繋がった性」で充足しているのです。

 頻度ではなく、月に一度「繋がる性」で、お互いが幸せ感にあふれているのです。

その証として「女性が感じるオーガスム」があります。オーガスムをよく感じる女性の割合を年代別にみますと図のようになります。年齢が増すにつれ、その割合が増えているのです。60歳代では5割弱となっています。それもマスターベーション(MB)ではなくセックスによるものが8割弱となっています。確かに女性の感じやすい部位として「クリトリス」が挙げられますが、高齢になってきますと腟内でも十分に感じ取れるようになっています。15


このようにして「高齢者の性」はセックススタイルも、若いときの荒々しいセックスよりも、確りと「繋がる性」を男性も女性も求め合うようになってきているのです。歓びの性を得た女性は、男性と対等となり性の営みは永続していくと考えられます。

60歳代では半数近くの女性が「オーガスム」を感じ取っています。オーガスムの項でも述べましたように、腟内の潤滑度は当然のことながら増します。骨盤底筋群は活発な攣縮運動を繰り返します。骨盤腔の血流も盛んになります。全身の血流も良くなっていきます。歓びを感じているのですから脳内の「オキシトシン」の分泌も盛んになっています。光り輝いているのです。

5-4.セックスには健康効果がある

「荒々しい性」から「繋がる性」に変化してきたセックススタイルには高齢者にとって様々な健康効果が表れてきます。

 お互いが裸で触れ合うことは、お互いの脳内には「オキシトシン」が駆け巡っています。相互信頼が増す愛着行動のホルモンです。

 お互いが歓びを分かち合うことにより脳内麻薬といわれるドーパミンも駆け巡り合います。快感・快楽の神経伝達物質です。全身に若さが漲ります。

 適度の運動となり骨盤腔の血流が増し全身の血流も改善されてきます。心循環器系のバランスも改善され、血圧も安定すると云われています。

 事後の睡眠は深く取れるようになりストレスの解消にも繋がるでしょう。至福の営みが朝の目覚めを爽やかにしてくれます。

 オーガスムを感じる女性は膀胱括約筋や骨盤底筋群の攣縮にもつながり、筋力の活性化がみられ尿失禁といった悩みも解消されてくるでしょう。

 男性にとって射精が繰り返されるなら前立腺の肥大やがんなどといった問題も改善されてくると云われています。

 性の営みは、お互いの絆、すなわち会話がスムーズにとれるようになってきます。お互いのコミュニケーションがとれ生活に張りが出てきます。

信頼のホルモン「オキシトシン」の役割を大切に生かしていくことがこれからの生活を豊かで実りあるものにしてくれるものと考えます。

5-5.サイトを賑わしている『高齢者の婚活』

最近、注目されているものに高齢者男性の婚活があります。婚活といえば30~40歳代の年齢層の女性というイメージが浮かんできますが、男性も盛んに婚活の場を求めようとしてきているようです。草食系男子が増えてきたという話題性から、若者たちの出会いの場のイメージが強いのですが、最近では60~70歳代の独身男女も積極的に参加しているようです。そのようなサイトでも楽天が運営する「オーネット」やライブドアが運営する「ユーブライド」等では高齢者もターゲットにしているようです。

「老春の門」でもありましたように1980年代頃から高齢者のペアリングの世話が盛んに行われるようになってきました。

そして新たな第二の人生とでもいうのでしょうか、50歳以降で再婚するケースも増えてきています。2012年では男性20.7千件と42年前に比べ2.8倍増となっています。初婚は6.1倍増の2.2千件です。女性も同様に5.1倍増の12千件となり、初婚も1.7千件となっていました。この数値は総婚姻件数に占める割合は男性で4.6%、女性2.4%と少ないもののかなり増えてきているといえます。16


一方では、別れもあります。2012年の総婚姻件数は553,040件でしたが、この年の総離婚件数は170,738件でした。総婚姻に対して30.8%の割合でした。しかし、50歳以上でみますと男性35,866件で1970年に比べ10.1倍増、女性22,74712.3倍増となっていたのです。熟年離婚の急増です。しかも離婚の申し立ては圧倒的に女性からのものです。より良い伴侶を求めて…との思いからでしょうか!17


いずれにしましても、高齢社会のなかで重要なことは、老後を夫婦ともに、そして生き甲斐のある生活を送ることが大切なことではないでしょうか。

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初めてのセックス

『何であれ初体験は緊張し、期待するもの。それがセックスならば、なおさら?ほとんど誰もが通り過ぎるのに、一つとして同じ経験はない…』と始まる『女のリアル:初交編』の一節だ。

17歳で、一つ年下の彼と。海辺にキャンプに行き、テントの中で。お互い初めてだったけれど、すごく自然な感じで優しくリードしてくれたから緊張しなかったし、終わった後もすごく幸せな気分に浸りました。愛されている感じが伝わってくるキスや愛撫は、今も忘れられません」と40歳代のコメントで始まっています。

これはサンデー毎日が『女のリアル』と題して20歳から60歳までの女性167名を対象に『生』と『性』をテーマに『初めてのセックス』と題したアンケート調査の結果をまとめ上げているのです。(詳細は「サンデー毎日、2013.7.7 & 7.14日号;初交編)を参考に…。

1.初めて経験するのは何歳!

データを解析したリプロ・ヘルス情報センターとして、そのデータについて紐解いてみることにします。

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名の平均初交年齢をみると19.4±3.0歳で、12歳から29歳の間で、1822歳の間では6割半ば、23歳を過ぎてからはわずか12%です。18歳未満の高校時代に経験しているのは2割程度でした。これは2011年の「青少年の性行動全国調査」による女子高校生の24%とほゞ同じ値といえるでしょう。いいかえるなら、殆どの女性は高校を卒業して間もないうちに経験していることが明らかです。

2.初めての相手とは恋愛中?

初めての相手との間に恋愛感情をもっていたのかという問いかけに9割は持っていたと答えています。これを前回行った『ファーストキス』の時は、8割弱でした。2


この違いを図におきかえてみますと、思春期の頃に初めてキスをした人は、相手が好きで、好きでたまらないからセックスに及ぶという衝動的タイプと、18歳以降の青年期に入って、キスとセックスの間にワンクッションを置き始めているようです。かぐや姫で語られている『男を選ぶ』というフィメールチョイスが女性の五感に働き始めているようです。

3.初交に至ったキッカケと場所

初交時のきっかけとして、二人の間にどの様な雰囲気を醸し出されていたのでしょう。

『相手から自然に』と誘い込むような場合が最も多く6割を占め、新婚初夜の形態を取るような『お互いが同時に』というのが続いています。『相手から強引に』というのは1割程でした。3


ここで特徴的なことは、18歳未満に『同時に』が多く、18歳以降では『相手から自然に』が多くなっていることです。ここにも衝動的な背景が窺えます。

初交に至った場所としては、『相手の家』が最も多く45%、次に多いのが『ラブホテル』で23%、『自宅』15%、「シティホテルなど」10%と続いています。4


18歳未満では『相手の家』や『自宅』で9割を占めており、選択肢の狭さが窺われます。

18歳以降では『ラブホテル』が28%と多くなり、欠かすことのできない施設になっているようです。でも、やはり相手の家に訪れることが一つの決意を表わしているのでしょうか。

このきっかけと場所をみる限りにおいては、パートナーである男性を持ち上げる行動を取り、男性のもとを訪れることは、女性としての最後の門扉を開ける行動のようです。

4.初めてのセックス時に抱える問題とは…

セックスに際して、女性が抱え込む問題として挿入時の疼痛が挙げられます。特に初めてのセックスのときは緊張もするでしょうし、処女膜もあり挿入を困難にしていることがあります。5


本誌に次のようなコメントがありました。「26歳の時、婚約中だった現在の主人と、3回目にしてやっと成功。前2回は痛いと涙目で騒いだので中断でした」と50歳代のコメントが付記されております。実際に疼痛を訴えていたのは7割に上っていました。そのうち『とても痛かった』と訴えていたのは4割弱もいました。逆に、『痛くなかった』は17%と2割にも満たない値でした。

この挿入時の痛みは、処女膜を通過する時の一過的なものだと云われていますが、その損傷によって出血が起きるのを破瓜と一般的にいわれています。処女であれば誰でも出血するものだと思いがちですが、実際に出血したと答えたのは4割程で、出血しなかったのも4割弱とほゞ同じ割合でした。覚えていないが24%もあり、痛みを覚えていない13%より少し増えています。

挿入時の痛みについては、腟内の潤滑度に大きく左右されます。腟内が十分に潤っていると挿入も容易に受け入れることは可能となります。そこで腟内の潤いぐあいについてみますと、潤っていたと答えたのが28%、潤っていないが32%と後者がわずかばかりですが多かったのです。そして『覚えていない』が40%もありました。

初めてのセックスは、緊張のあまり、痛みを感じるものの、出血の跡も腟の濡れぐあいには気が廻らなかったのが常のようです。

5.初交時の痛みは処女膜破瓜からくるのでしょうか…

出血の有無と挿入時疼痛との関係をみますと、出血があった44名では91%が痛みを訴えていました。出血のなかった36名でも63.9%が痛みを訴えていたのです。やはり破瓜をみる時は痛みを強く伴っています。6


次に腟内の濡れぐあいから痛みについてみますと、潤いのなかった36名では9割が痛みを訴え、潤っていた31名でも7割の女性が訴えていたのです。

初めてのセックスは、誰しもが緊張します。タンポンの挿入経験もなければ処女膜が腟の入り口を取り囲んでいます。完全に塞いでいるわけではなく手指の小指から人差し指くらいの大きさで開口しています。腟内が十分に潤っていても腟口は狭いものです。過緊張を解きほぐし十分なまでの時間をかけて行うことが『初めてのセックス』には欠かせないのではないでしょうか。

女性の初交時のきめ細かな思いが『サンデー毎日』の連載記事『女のリアル:初交編2013.7.7 & 7.14日号』で掲載されております。バックナンバーでお楽しみください。

『女のリアル』は2013.1.6 & 13日号に始まり、『月経編(上下)』2013.1.20 & 27日号、『初恋編(上下)』2013.3.3 & 10日号、『ファーストキス編(上下)』2013.4.28 & 5.5日号に連載されております。

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